こんにちは。からあげです。
久しぶりに鹿児島市街へ戻ってきた私は公園で一夜を明かした。
いったい何日ぶりだろう?
雨は降ったり止んだりを繰り返し、朝になってもいまだ止む気配はなし。小雨になったときを見計らってテントを撤収し、東屋の下で荷物を整理して公園を出る。私と入れ違いに傘をさした人がちらほらとやって来た。
雨が降ってテンションが下がり気味な私は、とりあえず町の中心部へと向かう。
ちょうど通勤・通学の時間と重なった。
踏切で待つおっさん。
今日は何をしよう。雨ですっかり観光する気がなくなった私はとりあえず献血に行くことにした。前回からすでに2週間以上経っている。
だから、あれほど時間のある時に観光しとけと言っただろう。脳内でおっさんと私が喧嘩する。
県立図書館駐輪場で雨宿りする。
結構な雨量でカッパを着ていてもすでにずぶ濡れ。
いったいどうしたんだ?このゴアテックスのカッパは。見てくれだけか。
県立美術館も開館前。
この時はまだ通常営業していた記憶がある。
鹿児島に来たからには、西郷さんに挨拶しておかないといかんな。
交差点の近くに設置された西郷隆盛の銅像。
雨の日は商店街に限る。
人通りはほとんどなく、シャッターが閉まった店が多い。
どこの地方都市でも見られる風景。
コロナ後の世界は有望な地方都市は賑わって来るかもしれない。少なくとも東京一極集中はなくなり、地方分散への流れができるはず。まあ、実際のところは時が過ぎないと分からない。
商店街の一角の広大な屋根付き広場。
濡れた体を乾かしつつ、ベンチに座って熱々のお茶を飲む。
ほうじ茶のあっさりとした口当たりがナイス。
昼過ぎころ献血を終えた。
私の健康診断は献血する際の血液検査と年1回の心電図の検査だけ。
わざわざ金を出して時間を掛けて精密検査する趣味はない。おっさんになると、探せば必ず悪いところが出てくる。いちいちそんなこと気にしていたら、コロナ後の厳しい世界を生きていけない。
今日のところはとりあえず鹿児島市街を出て鹿児島湾に沿って南下する。そのあと知覧経由で枕崎方面に抜けたい。
いつになく市街地の道路の流れが悪い気がした。
鹿児島へ来たのはまだ2回目だというのに、そんなことを考えたりしていた。
ようするに私は暇人なんだ。根っからの。
長尺物の白ネギはこうしてカバンにくくり付ける。
ネギを少し入れるだけで味がぐっと引き締まる。ラーメン店のラーメンにはほど遠いが自分では十分満足できる味になる。さすがに具を何もいれない素ラーメンでは物足りない。
スーパーで買い物をしたのち、道路に復帰して南下を再開する。
指宿(いぶすき)まで35km。どう考えても、知らないとこの地名は読めない。これまで余所者が何度も恥をかかされたことだろう。
天気予報ではしばらく雨続き。天気が良ければ、開聞(かいもん)岳に登るつもりだったが、このようすでは好天は望めない。指宿は次回にとっておいて薩摩半島をショートカットする。
市街地を抜けると交通量はグッと減り、非常に走りやすくなった。
できることなら、天気のいいときに走りたかった。
喜入まで平坦な道が続く。
再びゴアテックスのカッパが浸水して全身ずぶ濡れ。なんなんだことカッパは。よくよく考えてみると、5年以上はハードに使っている。防水スプレーも吹き付けずに使うのだから、染みて当たり前だ。
閉鎖されたガソリンスタンドの屋根の下で休憩する。
前方に石油備蓄基地の喜入(きいれ)の町が見えてきた。
今思い出した。そういえば、鹿児島まで車で来たことがあったんだった。
20年以上前のことですっかり忘れていた。ここまで何しに来たのかは覚えていないが。
大きな石油タンクが並ぶ。
大きな錨が展示されていた。
おそらく数十万トンクラスの巨大なタンカー船のもの。
鎖1節分でも持ち上げると腰が抜けそう。
とりあえず喜入の道の駅に寄ってみる。
通りがかったらとりあえず覗いてみるのは、車上生活者の習性。以前の癖が抜けない。
パッと見た感じ。自転車向けじゃない。温泉が併設されていて車の人には人気がありそう。
近くの建物の軒下を借りて休むことにした。
雨は朝から降り続き、いっこうに止む気配がない。
雨に濡れて体が冷えて、もう走る気力が失せてしまった。
カバンをゴソゴソと漁ってパンを取り出す。
値下げされた美味しいパン。ちょっと時間が経ったパンの方がうまかったりする。
続いてチョコレートを取り出す。
プラスチックゴミが出ないチョコレートは携帯食料としては優秀。
だが暑い時期にカバンの中に入れておくと、液化して漏れ出し大変なことになるので注意が必要だ。
なんだって?
私はお前みたいに安易に人を頼る女は大嫌いだ!
雨が止んだので道の駅を出たものの、もうすでにやる気なし。
さて、これからどうしよう。
いくらも走らないうちに前方に広大な公園を発見した。
周囲に全く民家はなく、野宿にうってつけの場所だった。「もうここで休んでいけよ」とでも言われているような気がした。私の脳内に神の声が響く。よし、休んでいこうか。神の御心には逆らえない。
明るいうちから防風林の影にテントを張ってさっさと休んだ。
晩ごはんはネギと大麦がたっぷり入ったチキンラーメン。
冷えた体には熱々のラーメンが合う。
飯を食ったらさっさと寝る。それが野宿派サイクリストの一日の終わり。スマホをいじりながら、ダラダラ過ごすことはない。
こうして長い長い雨の一日が終わったのだった。
ねぐら 広大な公園の片隅