地球と財布に優しいハクキンカイロで冬を乗り切る

こんにちは。からあげです。

はじめに

去年の年末から日本列島は幾度も寒波に襲われ極寒の真っ只中にある。歳をとる毎に冬が辛くなってきた。ああ、歳は取りたくないものだな。

冬は低所得の私にとって厳しい季節だ。部屋全体を暖房するととにかく金が掛かる。まともな断熱処理が施されていない家では高額な暖房費が悩みの種になる。

石油ストーブやファンヒーターは温かいけど灯油を食うし、定期的に窓を開けて換気しなければならない。そのうえ灯油を買いに行かねばならないのが面倒だ。通常の自転車では載せられるポリタンクは1つが限界、寒いなかポリタンクを積んで走りたくはない。
電気ストーブは換気が不要だが、電気代が掛かる割に温かくない。そんなわけで結局、毎年厚着して冬を過ごすことになる。(笑)

熱源が自身の体温のみだと冷え込んだ朝は辛い。体調が良くない時は本当に堪える。
そこで使い捨てカイロを使ってみるのだが、気休め程度で大して温かくないし、持続時間が短くていつの間にか冷たくなっている。そのうえゴミも出る。
湯たんぽ入りの寝袋に潜り込むのが一番。だが昼間から寝袋に入っていては何もできなくなる。

なんとかならないものか。そんなことを考えながら生活しているうちに、思い浮かんだのは昔ながらのハクキンカイロだった。試しに使ってみると、温かさと持続時間に驚いた。ハクキンカイロ1つで体はポカポカ。寒い日でもそこそこ快適に過ごせるようになった。

 

ハクキンカイロの原理

ハクキンカイロは、気化したベンジン(炭化水素)がプラチナ(白金)の触媒作用により、二酸化炭素と水に分解される。その時発生する酸化熱で温かくなる仕組み。決してベンジンが燃焼しているわけではない。
まずはじめ化学反応を起こさせるために、プラチナ触媒が内蔵された火口(ほぐち)をライターやマッチで炙ってやる。ただそれだけで、あとはベンジンがなくなるまで温かさが持続する。

炭化水素(HC)+ 酸素(O₂)→ 二酸化炭素(CO₂)+ 水(H₂O)+  酸化熱       

触媒とは、一般に、特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいう。Wikipediaより

 

ハクキンカイロの心臓部の火口。
ガラス繊維の中にプラチナ触媒が内蔵されている。

替え火口の箱の表示

 

ハクキンカイロの紹介

2023年でめでたく100周年を迎えたハクキンカイロ。100年前の1923年というと大正12年で関東大震災が発生した年だ。そんな昔に発明された代物がハイテク機器が溢れる現在でも使われていることに驚かされる。
現在、ジャイアントスタンダードミニの3種類が販売されている。

無難に温かさが約24時間持続するスタンダードを選択した。
ハクキンカイロ本体、フリース地の袋、注油カップ、取り扱い説明書が入っている。

ハクキンカイロ公式ページ|ぬくもりを届けつづけて100周年|ハクキンカイロ株式会社
創業100周年を迎えたハクキンカイロの公式サイト。ハクキンカイロはハイパワーなのに低燃費で24時間温もり続ける。繰り返し使える環境にとても優しい、安全でクリーンなエコカイロです。

 

ハクキンカイロの豆知識

ハクキンカイロは、ベンジン(炭化水素)の気化ガスがプラチナと接触して発熱する化学原理によるものです。ハクキンカイロは、直接ベンジンに火をつけて燃やしているわけではありません。マッチ・ライターや電池を用いるのは、プラチナの触媒反応を開始させるのに必要な温度を与えるためです。気化したベンジンがプラチナの触媒作用により、炭酸ガスと水に分解され、その時発生する酸化熱を応用した環境にとてもやさしい、安全でクリーンなハイテクカイロです。                   
箱の記載より引用

 

カイロ本体

ハクキンカイロ本体

材質  真鍮
重量  83g
大きさ 縦101×横68×厚さ14mm
*手持ちの秤とノギスで計測した数値

フタを外すと火口が現れる。
フタ側面には孔雀を模した通気孔が空けられている。この通気孔は非常に重要な意味を持つ。

フタの役目

単に安全のためのカーバーではなく、このフタの孔雀の型の通気孔に重要な意味があります。通気孔の大きさ位置などによって、カイロの温度持続時間が調節されています。

火口を取り外すと現れるのが取替綿(脱脂綿)。ベンジンを吸収して漏れるのを防ぐ。
取替綿の寿命は約5~10年(使用頻度による)。

 

火口(ほぐち)

タンクの先に取り付けられているのは、プラチナ触媒が内蔵されている火口(ほぐち)。外回りの材質はカイロ本体と同じ真鍮製で重量は3g。
火口の寿命は1~2シーズンで、メーカーは1シーズン毎の交換を推奨している。

指定ベンジン以外を使うと、触媒が劣化しやすく寿命が短くなる。できるだけ指定ベンジンを使用したい。

斜め上から

ガラス繊維の中にプラチナ触媒あり。むやみに分解はしない。

真上から

下の取付部

火口はスタンダードミニが共通。ジャイアントは専用で互換性なし。
ジャイアント用火口はメーカーオンラインストア以外では入手困難。スタンダードかミニを選んでおいたほうが無難だろう。Amazonや楽天などでも販売されている。

 

注油カップ

プラスチック製の目盛り付き注油カップ。上の目盛りが1カップ(12.5ml)、下が半カップ。
カイロ本体に取り付けてベンジンを注ぎ、90度回転させるとベンジンが中に入る仕組み。
スタンダードは2カップ(25ml)で約24時間持続する。

入れ過ぎ防止のために、毎回必ず注油カップを使用したい。
メーカーオンラインストアでは単品で販売されている。

上から見たようす

逆さにしたようす

 

フリース地の袋

フリースで作られた収納袋。

口にはマジックテープと吊り下げ用の輪っかが取り付けられている。
フタの脱落や火傷防止のため、使用時はカイロ本体を袋に入れて使用する。
ライターで炙って10分経つと、素手では長時間持てないほど熱くなる。

こちらの袋もオンラインストアで単品で販売されている。

 

ハクキンカイロ指定NTベンジン

メーカー指定のベンジンはヱビスベンジンNTベンジンの2種類あり。
ヱビスベンジンの方がベンジン臭が少ないらしいが、少し高価なのが難点。
指定以外のベンジンは火口のプラチナ触媒が劣化しやすいので、NTベンジンを選んでおけば間違いだろう。指定ベンジンは、メーカーオンラインストアのほか、Amazonや楽天などでも販売されている。

ものは試しにジッポライター用オイル(133ml)とカイロ用ベンジンも購入してみた。
カイロ用ベンジンは単に安かったから。ジッポオイルは携帯用の空き缶が欲しかったから。500mlのボトルは持ち歩くには大きすぎる。
両方とも問題なく使用できた。

ジッポオイルやホワイトガソリンも使えるが、火災の危険触媒の劣化を早めるなど不具合が起きる可能性が高いので注意したい。もちろん何が起きても自己責任となる。



 

ハクキンカイロ指定NTベンジン

内容量   500ml
製造販売元 タカビシ化学株式会社

特徴

低温時でも火つきがよく保温力を増すために、高精製処理したカイロ用ベンジンです。
いやな臭いを少なくするために、不純物を除去しています。
火口、中綿を長持ちさせるために、硫黄分の少ない原油を高精製処理したものを使用しています。

 

用途 カイロ用燃料
成分 石油系炭化水素100%(トルエン、キシレン、n-ヘキサン、エチルベンゼン、シクロヘキサンを含む)

危険有害性情報 
発がんのおそれの疑い、臓器(肺、腎臓)の障害、呼吸器への刺激のおそれ、長期にわたる又は反復ばく露による臓器(神経)の障害、長期にわたる又は反復ばく露による臓器(血管)の障害のおそれ

注意書き(安全対策)
熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。
屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
蒸気を吸引しないこと。

ボトル表示より一部抜粋

気になるのが危険有害情報。発がんのおそれの疑い、神経の障害のおそれなどがあるという。だがあくまでおそれ。気をつけて使えば、たぶん大丈夫。

以前、屋内に張ったツエルト(緊急用の小型テント)内で寝る時、寝袋に湯たんぽ代わりにハクキンカイロを入れていたことがある。だが、たびたび原因不明の体調不良に見舞われた。ツエルト内がかなりベンジン臭かったので、ベンジンの揮発ガスが怪しいのではないかと思う。
以後、狭小空間で使わないようにしてからは問題なし。冬期のキャンプでテント内で使うのはよくよく考えた方がよい。
ハクキンカイロは屋外または換気の良い場所での使用を前提としたもの。

 

ハクキンカイロの使い方

ハクキンカイロ取り扱い説明書

1 フタを開け、火口を取り外す

火口は指で摘んで上に引き抜くと簡単に外れる。使い始めは硬いことがあるので頑張って外そう。

 

2 注油カップの取り付け

火口を外すと、中の脱脂綿が見えるようになる。
この本体の口に注油カップを取り付ける。

軽く押すと穴に簡単に嵌まるようになっている。
注油カップには2本の線が目印として付けられている。

上の線が1カップ(12.5ml)、下の線が半カップの目印。
24時間使用する場合は2カップ(25ml)入れる。

 

3 ベンジンの注油

初めて使用する時はボトルの中栓を引きちぎっておく。
注油の際は左へ1/4回転回すと、ベンジンが出てくる。
垂れにくい形状の口で入れやすい。

注油カップに半分注いだところ。
まだベンジンは中に入って行かない。

注油カップを90度回転させると、ベンジンが中に入ってゆく。

 

4 本体を逆さまにして入れ過ぎていないか確認する

ベンジン入れ過ぎ防止のために、本体を逆さまにして中央を軽く押し、入れ過ぎていないか確認する。出て来た場合は入れ過ぎ。

注油カップで正確に計量していても、前回の分が残っていることがあり、安全のために毎回必ず実施されたい。ベンジンの入れ過ぎは炎を上げて燃焼したり、故障の原因になったりするので注意したい。

 

5 ライターやマッチで触媒を炙る

火口を取り付けたあと、火口を上にしたまま、ライターやマッチでプラチナ触媒を3~5秒炙る。
火口を下にして炙ると、煤が触媒に付着して傷みやすくなるので注意しよう。

化学反応開始の確認は、フタを火口に接触させてみる。
蒸気が付くので簡単に分かる。

 

6 フタを閉め袋に入れて使用する

フタを閉め、必ずフリース地の袋に入れる。
反応が始まって10分もすると、カイロ本体が熱くなって素手で長時間持てないほどになる。

あとはポケットに入れるか、別売りのベルトに入れるか、紐を付けて首から下げるなどして使用する。

使用中の火口を撮影してみた。
赤熱してはいるが、燃焼しているわけではなし。

使用中のハクキンカイロの重量は100g以下。

 

純正袋の改良

純正袋に付いているHAKKINというタグを切り取った。
軽量化病に取り憑かれている私は、なくてもよい物は外すことにしている私。いつものようにリッパーでチマチマと縫い目を切り取った。

あとは口の輪っかに紐を通して首から下げられるようにした。
ハクキンカイロは上着のファスナー付きのポケットに入れるのが一番安全。だがポケットの位置が左右に若干ズレているため、中央の丹田付近に当てられない。物によってはファスナー付きポケットがない服もある。

そこで紐を付けて首から下げるようにした。外出時はファスナー付きのポケットに入れ、家にいるときは首から下げている。

 

ハクキンカイロの長所

温かい

メーカーによると、使い捨てカイロの13倍の温かさがあるらしい。
確かに使い捨てカイロと比べ物にならないくらい温かい。袋から出して本体を直に触ると、火傷しそうになるほど熱い。

一度ハクキンカイロの温かさを知ると、二度と手放せなくなる。

 

長時間持続する

ジャイアント30時間、スタンダード24時間、ミニ18時間。
実際に使ってみると、若干持続時間が短い気がするが、朝から晩まで温かさが持続するのは非常にありがたい。

 

気温マイナス40℃でも使用可能

ベンジンの引火点はマイナス40℃。ベンジンが気化してくれれば、あとはライター・マッチで熱を加えて反応させるだけ。

冬山登山、スキー、スノボーなどウインタースポーツの頼もしい味方になるに違いない。
災害時の体温保持にも非常に役立つ。

 

ハクキンカイロの短所

取り扱いが面倒

使用する度に、毎回ベンジンを注油して、火口をライターなどで炙るなど手間がかかる。
だが手間が掛かる分、愛着が湧いてくる。
昔の道具を愛用している人は苦にならないだろう。

 

ベンジン臭がする

慣れるとなんともないが、使い始めはベンジン臭が気になることがある。
決して心地よい臭いではないが、とても温かいので多少の臭いは大目に見れる。

 

ライター・マッチなどの道具が必要

非喫煙者はライター・マッチを持たないので、ハッキンカイロ用に購入しなければならない。
小さい子どものいる家庭は、ライター・ベンジンなどの保管場所に注意を払わねばならないが、災害時のためにいくつかあった方がよい。

 

ハクキンカイロの感想

今までなぜハクキンカイロを使わなかったのだろう?ハクキンカイロという名前が古臭い感じがするから?寒さに震えていたのがアホらしい。
多少の手間は掛かるが、そこがまた愛おしい。大事に使えば一生もの。クロモリの自転車と同じ。

春が来たらベンジンを完全に揮発させて、本体をウエスでピカピカに磨いて保管する。
冬が来る前に予備の火口とベンジンを確保しておけば安心だ。

冬に厚着は基本。防寒着はしまむらやワークマンで安く揃う。あとはハクキンカイロがあれば体はポカポカ。ベンジンと火口を合わせても、一冬5,000円もあれば余裕でお釣りがくる。経済的で環境にやさしい最高の暖房器具だ。今後も大事に使ってゆきたい。

 

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