まさかの真夏の雪!〜観測史上最も早い初冠雪の黒岳に登る

こんにちは。からあげです。

 

昨日、今日と層雲峡から入り黒岳から白雲岳へと縦走してきた。
なんとこの日、黒岳で観測史上初の最も早い冠雪を記録していた。

前日から急激に気温が下がって寒かったのだが、まさか山の上で雪が降っているとは思いもしなかった。山の上の吹きっ晒しで寒風に弄ばれて随分と体力を消耗してしまった。

 

それではこれから登山のようすを2回に分けてアップしよう。

朝、4時に起床して準備を始める。

隣のテントからいびきが聞こえて来て気になった。セコマは5時から営業を始める。それまでに準備を済ませてしまうおう!

シートの上で荷物を広げてバックパックに放り込む。
ベアキャニスターとシュラフのインナーシーツは持って行くのは止め。登山の通常装備に加えて、浄水器(洗浄用注射器を含む)・ベアスプレー・熊よけ鈴を持ってゆく。

靴は先日釧路で買ったアシックスのトレランシューズ。

自転車は駐車場の邪魔にならないところの手すりにワイヤーロックを繋いで、U字ロックで前輪とフレームを繋いだ。あとは自転車カバーを掛けておいた。これで盗難対策はOK!

今回雨の間を縫って、泊りがけで登山に出かける気になったのは、層雲峡の屋根付き駐車場があるからだ。野宿から荷物の出し入れまで雨に濡れずに済む。車中泊と違って自転車は雨に降られるとどうしようもない。本当に助かった!

朝の空模様

天気予報では曇時々晴れとなっていたのだが、全然そんな気配はなし。今にも雨が降りそうな雰囲気だった。しかし、今さらどうにもならん。ここで登山中止を決めたら、おっさんが拗ねて言うことを聞かなくなってしまうだろう。

セコマでお買い物♪

キーマカレーと食パンとアンパンは登山用の食料。上のカップラーメンとおにぎりともやしが朝食だ。

秘技、もやしトッピング!

長きにわたる野宿生活で自然とするようになった。おっさんだって、いちおう健康には配慮しているのだよ!健康には。

塩おにぎりと鴨ダシのスープがよく合った。

食事を済ませると、ビジターセンターの靴洗い場で水を補給して登山口入り口の層雲峡神社までやって来た。

小銭を賽銭箱に放り込み、登山の安全を祈願する。

ロープウェイとリフトは乗らずに自分の脚で歩く。

早朝からハードなアルバイトだ!こういう勝手にできるバイトだと気楽。時おり風に乗って聞こえてくる案内放送を聞きながら歩いた。登山道は下草の刈払が行われていて歩きやすかった。

5号目から7合目までは下草が覆いかぶさっていて下半身がずぶ濡れとなった。

リフトの終点、7合目までやって来た。周囲はガスに包まれて全く視界はなし。

リフト乗り場周辺でちょこまか動いていたシマリス。

全く人を怖がるようすはなく、おっさんの周りを彷徨いている。

エサをねだっても無駄だぞ。こちらが食べ物を欲しいくらいだ。

登山道脇で一番よく目に付いたのがトリカブト。

色鮮やかな紫色をしている。

淡々と登山道を歩いて黒岳山頂までやって来た。
それまで山陰で風が吹いていなかったのだが、山頂に出るとモロに風に吹かれることになった。

うぉ〜、寒い!

こんなに寒いのに結構な人がいる。ふむ、あれだな!天気予報に騙されて登ってきたくちだな!って自分のことではないか。

黒岳山頂1,984m

天気が良ければ、大雪山系の素晴らしい景色が見られるのだが。
今日はガスに包まれていて全く見えない。

黒岳山頂の冬期避難小屋

ミニマムサイズの小屋となっている。夏期は閉鎖されて使用できない。入り口にトイレではありません、という張り紙がしてあった。

避難小屋入り口にあった温度計を見てみると、、、

なんと、1℃。おいおい、どうなっているんだ?まだお盆を過ぎたばかりだぞ。堪らずウインドブレーカーを羽織る。

山頂では寒くてゆっくり休憩していられないため、黒岳直下にある黒岳石室までやって来た。

外は風が強くて寒いため、みんな小屋の中に避難していた。

石室の雨水回収システム。樋の水を大きなタンクに入れるようになっている。最近雨が多いからタンクはいっぱいだろう。

 

石室を出ると、お鉢平を半時計周りに回って白雲岳方面に向かうことにした。今日のねぐらは白雲岳避難小屋のキャンプ場だ。

ウラシマツツジが部分的に早くも紅葉を初めていた。
大雪山系の紅葉は例年9月中旬ころだが、ビジターセンターの人が言うのは今年は早いらしい。

チングルマの綿毛

辺り一面に生えていた。花が咲いている時期はさぞかしキレイだろう。高山植物は一斉に花を咲かせないのは、種の保存のための生存戦略らしい。

人間にも変人がいるのは、時代のあらゆる変化に対応するためだ。時代に合えば、素晴らしい人生を送ることができるだろう。おっさんは生まれるのが少し早かった。まだ時代が追いついていない。

ウラシマツツジの中に白っぽい小魚のようなものがあった。
これはいったい何なのか?結構あちこちに見られた。

まさか、タッパに入れて持ってきた小魚が風で飛ばされた訳ではないだろう。

しばらくすると、登山道に雪が積もっているようになった。

この時は知らなかったのだが、16日から17日にかけて、大雪山系では初冠雪が記録された。なんと観測史上(1974年以来)最も早い初冠雪なのだそう。

すでにトレランシューズは濡れていたのだが、溶けかけの雪でますます濡れてしまった。

上半身はウインドブレーカーを着たものの、下半身はハーフパンツのみ。足を止めると寒いので、疲れないようにゆっくり歩き続けた。

なんだか分からないが、谷沿いにはまだかなりの雪が残っているぞ。

濃い霧のなか歩き続ける。

立ち止まると寒いため、休むことさえできない。
次第に消耗して頭がぼーっとしてきた。

北鎮岳(ほくちんだけ)分岐

ここの標識が破損していてどこか分からず、北鎮岳まで登ってきてしまったと勘違いしてしまった。御鉢平の展望所まで戻ってようやくここが分岐だと分かった。水滴でメガネが曇り道が見えなかった。

痛恨のタイムロス!

お鉢平の周辺を歩いているのだが、濃い霧でどこがどこだか分からない。

次第に雪が増えてきた。

時々、ようやくガスが晴れて周囲が見えるようにはなってきた。

それでもこの程度。見えたと思ったら、直ぐに見えなくなってしまう。非常に短いサービスタイムだな。

とにかく寒すぎる。

背の低い草がチョロチョロ生えているだけで、身を隠す場所はどこにもない。

振り返ると左の方に旭岳が見えていた。

すれ違う登山者も寒さで非常に素っ気ない。立ち止まって話をしている場合じゃない。

旭岳のズーム

およそ1月前に登ったんだな。

あの時は暖かくて良かった。まだ8月中旬なのに、10月に入ったように思える寒さ。いったいどうしたんだ?今年の北海道はいいとこなしじゃないか!

久しぶりに晴れたと思うと、直ぐに雨に降られてしばらく続く。もううんざり。

お腹が空いたので、食パンを食べる。
手袋をしていても指が凍えて袋を開けるのに苦労した。

準備していた時、何気なく手袋を手にとってバックパックに放り込んでおいた。手袋がなければ、非常に辛かったことだろう。カメラのシャッターボタンを押すのにも手間がかかった。

今日の目的地の白雲岳避難小屋は、右の白雲岳の向こう側にある。

北海岳を目指して歩く。寒くて寒くて死にそうだ。

ハーフパンツで歩いている変人はおっさんしかいない。寒くなったら、北海道から出るつもりであったため、ロングパンツなんて持っていない。

ガスの切れ間に現れたお鉢平

中には有毒温泉が湧いていて立ち入り禁止となっている。

北海岳山頂

先ほどちょっとだけお鉢平がハッキリと見えた。

なんと山頂標識にエビのしっぽのようなものができていた。

おいおい、勘弁してくれ。

吹き溜まりに足を突っ込むと、膝したまで埋もれてしまった!

白雲岳を目指す。

ようやく青空が覗くようになってきた。天気は回復傾向か?(そんなことはなかった。)

白雲岳山頂に向かう。

明日は天気が下り坂のため、今日のうちに登っておくことにした。翌日は朝からガスに包まれていて、今日登っておいて正解だった。

白雲岳山頂 2,230m

ガスに包まれて視界不良。まったく見えず。今日明日のどちらにしても景色は見えなかった。

本日のねぐら白雲岳避難小屋

左の小さい小屋がトイレ。テント場は一段下がったところにある。

白雲岳避難小屋

白雲岳の下のある2階建ての小屋。時間を掛けて積んだ石垣の上に建てられている。赤い建物でよく目立つ。

まずは避難小屋に行ってテントの受付を済ます。
1泊300円と非常にリーズナブル。

シーズン中は管理人さんが常駐している。小屋は素泊まりのみで1泊1000円。別に金をケチってテント泊するわけではない。

テント場にはまだ誰もおらず。よっしゃー、一番乗りだ!

風が強いため、四隅をペグで仮止めして慎重にテントを立ち上げた。今年買ったばかりのテントを傷めるわけにはいかない!

息をする風のタイミングを見計らって作業した。

無事にテントを張り終える。テントは張り綱が命。しっかりペグを打ちロープを張っておく。

ペグはロープを穴に通して結び、一杯まで打っておく。
ペグ効きはまあまあだが、風が強いためふっ飛ばされるおそれがある。

そこで、ペグが抜けないように石を乗せておく。
ロープが擦れて傷まないように注意する。

こうしておけばバッチリだ!台風でも来やがれってんだ。

テント場のようす

あとから数人やって来てテントが増えた。
もう少し混むかと思いきや、ガラガラで快適だった。一方の黒岳石室の方はかなりの賑わいだった。

小屋のすぐ近くに咲いていた花。寒くて閉じてしまっている。

小屋の温度計を見てみると、外気温は3.2℃だった。小屋の中は7.4℃で快適だった。

非電化の小屋だが、あちこちにハイテク機器が導入されている。

忠別岳方面

上部はガスに包まれている。

ところどころに雪渓が見られる。

時々日差しがあってかなり助かった。

夕暮れ時

緑岳から大雪高原方面。一時的に雲が晴れてスッキリした青空が広がった。今日の一番いい天気。

高原沼巡りコースの三笠新道はクマ出没のため通行止めとなっている。どうやらクマの出没が多発して、ほとんど通れないらしい。

雪渓の雪解け水を汲む。

水量が豊富で非常に冷たくて美味しい。柄杓と漏斗が備え付けられていて便利。

遅めの昼食にする。途中で食パン3枚かじっただけで、他には食べていない。
快適なテント内に逃げ込んだところで、急に食欲が湧いてきた。

今回の山行の一食分。

チキンラーメン1袋、キーマカレー1袋、大麦1袋に乾燥昆布とわかめを少々。おやつにココナッツサブレを1袋。

 

テント内で食事をするのは、テントに匂いが染み込んでしまうため嫌なのだが、風が強くて外で食事できない状態だった。

今年になってこのテント場でも、中で寝ているのにテントを破く悪質なキツネが出没しているらしい。カレー臭(加齢臭ではない。)を染み込ませるのは危険だ。食事のあとで十分換気してできるだけカレー臭を飛ばした。

たっぷりのカレー味のチキンラーメン。

大麦を増量して確かな手応えを感じる。お腹に溜まっていい感じだ。おまけに食物繊維たっぷりでお通じにもいい。

食事のあとで、汲んだ水を浄水する。
あぐらをかいて足に挟んでやるのはPCTスタイル。

今日は一日行動して水分補給したのは500mlペットボトルの1/4ほど。もう少し飲んだ方がいいと分かっていたのだが、小便が近いし寒くて全く飲む気になれなかった。

風下に向かって放尿していると、急に風向きが変わってハーフパンツを濡らしてしまった!

雪解け水でキレイなため、ほとんど透明だった。
冷たい雪解け水を煮沸諸毒するのは、時間と燃料が勿体無い。
浄水器があると、簡単に安全な水を作ることができる。

本日の夕焼け

相変わらず風が強くて非常に寒い。暗くなる前に夕食を済ませて寝る準備を整えた。電波が圏外のためブログ作業はなし。

寝る前に張り綱の点検を行い、靴はテントを中に入れておいた。

外に出しっぱなしにしておくとキツネに持って行かれるかもしれないし、夜の冷え込みで凍結してしまうおそれがあった。

このあと念のため、ビニール袋に入れておいた。

履いていた靴下はずぶ濡れになったため、予備の靴下を履いて眠る。本日は寒くて汗はほとんどかかず。シュラフのインナーシートは持って来なくて正解だった。

3日前、21世紀の森キャンプ場の温泉に入ったばかりで非常にキレイだ。

 

外は寒かったが、寝袋がポカポカで温かい一夜を過ごすことができた。明日は天気が下り坂のため、真っ直ぐ層雲峡に戻る予定だ。

 

つづく

コメント

  1. 山びと源 より:

    白雲テンバは、大雪山のオアシスだから、キャパーが多いのは、仕方がないかな?
    前に、テンバで夜中の12時位まで、音楽かけて騒いでいるハイカーがいたよ!
    白雲のテンバは、ロープウェイや銀泉台から、簡単に行けちゃうから、夏は俗かされていないヒサゴ沼か、トムラウシ直下のテンバが、静かで最高だな~ww
    しかし、層雲峡の神社からの登山道は、私も1回しか登った事がない。
    最近、黒岳方面から余り登らないな~ww
    白雲テンバのキツネは、毎年の事だから、注意したほうがよいね。
    私も、前室に置いておいたサンダル持って行かれたから!

    しかし、今年の天候はおかしいね!

    • karaage より:

      ただ単に運が悪かっただけでないでしょうか?

      マナーの悪い人間が来るようなところは行かない。知名度が低い山か難易度の高い山に行けば、そういう輩もいなくなるでしょうが、いいところはいいですからね。