こんにちは。からあげです。
ディスクブレーキを搭載したディスクトラッカー
今回は自転車の話。
私の自転車はサーリーのディスクトラッカー(旧型)。ディスクブレーキ仕様の丈夫なクロモリ製フレームで荷物を満載してもびくともせず、直進安定性が高い。まさにツーリングのための自転車。
以前カンチブレーキのランドナーに乗っていたとき、雨の日にブレーキが効かずに事故を起こしそうになり、直ぐにディスクブレーキ仕様のディスクトラッカー(以後DTと略す)に買い替えた。
ディスクブレーキは雨の日でも良く効き、リムの消耗がない。天気に関係なく年間10,000kmほど走る私にはぴったりだ。
機械式ディスクブレーキ shimano BR-CX77
ロード系 ULTEGRA 6800 シリーズ ポストマウント シングルピストン
shimanoの高グレードのタイプだけあって、効きと整備性がよく、とても気に入っている。
現在の主流は油圧ディスクのフラットマウント。BR-CX77は廃版となってすでに数年が経ち、新品の入手は難しくなっている。予備に中古品を手に入れるなどして大事に使っていきたい。
別角度でもう一枚。
こちらはフロント。サーリー純正のフロントキャリア(ナイスラック)がブレーキ周りのガードになっている。まさにナイスなラック。
DT装着のブレーキローター
フロント側 shimano SM-RT64 160mm
DTに装着しているブレーキローターはフロント側がセンターロック式のSM-RT64、サイズ160mm、ナロータイプ。
レジン(樹脂製)パッドとメタル(金属製)パッドの両方に対応する。
新品厚さ 1.8mm 使用限界(1.5mm)
リヤ側 メーカー型式不詳 160mm
6本ボルト留め サイズ160mm ナロータイプ
メタルに対応するかなどの詳細は不明。
新車時はフロントと同じローターが付いていたのだが、2019年オーストラリアツーリング中にリムが割れて、急きょ現地のバイクショップで組んでもらったホイールに交換した。
ハブがXTからDEOREへグレードダウンするとともに、センターロックから6本ボルト留めタイプへ仕様変更になってしまった。無料サービスで付けてもらったローターなので、ブランド不明でも仕方がない。辺境の町で新たなホイールを入手できたのは奇跡と言っても過言ではない。
スポークの本数が32本から36本へ増え、以前よりしなやかな乗り心地になって結構気に入っている。
ロードバイクのリヤには、小さい140mm径のローターが付けられることが多いが、荷物を大量に積載するツーリングバイクでは同じ径のローターを使用する。前後でローテーションもできる。
ブレーキローターの消耗に気がつく
夏なると近所の川によく水浴びに行ったもの。火照った体を冷たい川の水に沈めるととても気持ちいい。心身ともにリフレッシュできる。
この秘密の水浴び場所までは未舗装路を数kmも上ってゆく必要があるが、辛さよりも気持ち良さが上回るのでついつい行ってしまう。
だがそれにともない別の問題が発生する。それはブレーキパッドの消耗。未舗装路走ると決まってパッドが削れてブレーキレバーの引き代の余裕が少なくなる。毎日のように通い続けると、あっという間にパッドが消耗してくる。ケーブルとパッド調整も頻繁に行う必要があり、油圧にしたい誘惑に駆られる。
それでも山奥の廃道を走りに行ったりもする。人気のない静かな道をゆっくり走るのも楽しい。
鹿や猿、ときには大きな猪にあうこともある。そしてお互いビックリ。
パッドの消耗を抑えるため、急な下り坂では自転車を降りて歩く。なんせ根っからのケチなもんで。
家の周りの道路は路面状態が悪く、晴れの日でも水溜りがあることが多いうえ、路面上には土砂が浮いている。そのため家の近所を走っていると自転車がすぐに汚れてくる。ブレーキローターやパッドに土砂が付着した状態でブレーキをかけると、シャーシャーと耳障りな音を立てる。パッドが削れる音だ。ちくしょーめ。
こまめにペットボトルで水を掛けてブレーキ周りの泥汚れを落としていたものの、やらないよりマシな程度で相変わらずパッドの消耗は激しかった。つい先日(数ヶ月前)新品に交換したはずなのにもうこんなに削れているではないか!
ケーブル・パッド調整をしようとするとパッドのカスや泥で相当汚れていたので、ブレーキキャリパーごと外して丁寧に掃除することにした。
ブレーキクリーナーを吹きかけてきれいなウエスで磨き上げる。ふきふき。
あっという間に削れてしまったブレーキパッド。
パッド調整をこまめにやっていても、どうしてもピストン側(車体外側)のパッドの方が消耗度合いが大きい。
フロント側は新品に交換、リヤ側は左右を振り替えて再使用することにした。
パッドはshimano G02S。ナローのレジンタイプで台座がスチール製。新品の厚みは2.4mmで使用限界は0.5mmとなっている。しかし、パッドが削れてくるとブレーキの効きが悪くなるし、調整が非常にシビアになるので限界まで使いきることはしない。(ケチな私でも厚さ1mmくらいで止めておく。)
台座がアルミのパッドは型式の末尾がA。アルミの方がスチールよりも放熱性が高くて多少軽い。だがスチール台座に比べて価格が高いので、アルミ台座のパッドは滅多に使うことはない。現在は従来型に比べて40%耐摩耗性が向上したG03シリーズが出ている。
作業しながら何気なくフロント側のローターを見ると、以前より薄くなっているような気がした。ノギスで厚さ測ってみると、なんと1.4mm。使用限界の1.5mmよりも薄くなっていた。リヤの方は1.8mmで新品同様の厚さがあり問題なし。
ローターをセンターロックまたは6本ボルト留めのどちらかに統一していれば、ローテーションできるのだが、成り行き上こうなってしまったのだから仕方がない。しばらくはフロント側のブレーキを労りつつ乗ることにした。
こういうとき一度気になり出すと気になって仕方がない。ローターが折れていきなりブレーキが効かなくなるのではとドキドキしたものだった。
フロント側のブレーキローターの交換
shimano SM-RT64 160mm センターロック式 ナロータイプ
用意した新しいブレーキローターはSM-RT64。アイステクノロジー「FREEZA」を採用したハイグレードなローターもあるが、価格もハイグレード。財布まで軽量化されてしまうので却下。
メタルにも対応するSM-RT64で十分。ローターにはワイドタイプとナロータイプの2種類あるので注意が必要だ。
ブレーキが消耗するので、普段からハードなブレーキングは一切しない。遊び半分でタイヤをロックさせるなんてもってのほか。
ロックリングには内セレーションタイプと外セレーションタイプの2種類があるので注意する。
締め付け工具が異なる。
箱から出したところ。
ローターには新しいロックリングが付属する。ローターと一緒にロックリングも交換する。
おもて
こちらを外側にして取り付ける。
中心部分のスプラインの付いた黒い部分がアルミ製、ローターはスチール製、リベット留めされていて分解はできない。
うら
中央部分のアップ
中央内側に刻まれたスプラインの内歯。ハブの外歯と噛み合ってズレることはなし。
ロックリングの当たり面には緩みどめのギザギザが刻まれている。
ローターには回転方向あり。センターロックのローターは6本ボルト留めタイプとは違い、取り付け向きを間違えることはなし。
もとのローターにはなかった末尾にS。
203mmがL、180mmがM、160mmがSサイズと呼ばれているようす。気になって調べた。
ケガ防止のためか、角は丸く面取りされている。
ロックリングの表側
内セレーションタイプ。黒に塗装されて精悍さがUPしているぞ。
締め付けトルクは40-50 N・m。強いトルクでしっかり締め付ける。
裏側にはギザギザが刻まれ、アルミの薄いワッシャが付いている。
ローターの重さはロックリング込みで156g。注意のテープを剥がせば0.01gくらい軽くなるに違いない。
ブレーキローターの取り外し
DT新車時はフロントにはXTハブのホイールが付いていたのだが、途中でハブダイナモ付きのホイールに変更している。ローターは以前のホイールから付け替えただけ。
センターロック式のローターを外すのは簡単。クイックリリースのシャフトを抜き、ロックリング締め付け工具で緩めるだけ。
上は柄の付いた扱いやすいタイプ。下はshimano純正のロックリング締め付け工具TL-LR15。
この工具はブレーキローターのほかに、カセットスプロケットの着脱にも使用する。
私の場合、普段の整備では柄付き、出先では携帯用のTL-LR15を使用している。
柄付きは台湾工具メーカーのPWTのもので、スプロケット固定用の2本セットで販売されている。
安くて品質もよいため、次第にPWTの工具が増えてきた。
ローターのアップ
柄付き工具でロックリングを緩める。センターロックの場合、1つ緩めるだけでいいので簡単。
外したローターの厚さをノギスで測ってみると、以前と同じ1.4mmだった。
未舗装路の走行を控え、やさしいブレーキングのおかげだろう。といつものように自己満足に浸る。
現在の主流は油圧ディスクのフラットマウントで、シャフトがスルーアクスルタイプ。
新型DTはフラットマウントのブレーキ台座を備え、スルーアクスルとなっている。思い切って買い替えたい気もするが、トップチューブに若干の傾斜があるスローピングフレームになっているし、飛行機輪行には機械式ディスク、クイックリリースの方が向いている。
まだ買い替え時ではない。これまで苦楽をともにした相棒をそう簡単に捨てられるものか。オーストラリアで相棒と共に戦った向かい風。忘れまい。
センターロック式のローターだと、ハブ取り付けのスプライン外歯が減ってきてガタが出てくるという噂もある。着脱が簡単なセンターロック式を取るか、手間は掛かっても確実にしっかりと付けられる6本ボルト留め式を選ぶか非常に悩ましい。
新品、中古ローターの比較
右が新品。左が取り外した中古。
新品 厚さ1.8mm
中古 厚さ1.4mm
走行距離22,000km。ローターは30,000kmくらい保つだろうと思っていたが、やはりローターも消耗品のようだ。1個2,000円ちょっと。
ローターにやさしいレジン(樹脂製)だから、20,000km以上ももったと思った方がいいのかもしれない。使用限界まで減ったら、潔く交換しよう。
中古のローターは角が立っていて、パッドの当たり面に段差ができている。
触ってみたところ、車輪(内)側よりもピストンのある車体外側の方が多く削れている。
角度を変えてもう一枚。まるで鋭利な刃物のよう。
ローター2枚重ねて見比べてみる。上が新品、下が中古。わずか0.4mmの差だが、肉眼でも分かる。
中古の重量はロックリング込みで138g。
新品の156gに比べて18gも軽くなっている。
こうして数値化できると、ローターの摩耗具合がはっきり分かる。
リヤ側の6本ボルト留めタイプのローター
ついでにリヤ側のローターも点検してみる。
厚さは1.8mm。走行距離はおよそ10,000km。表面が僅かに削れたのみで、消耗は僅か。
ボルトは六角ではなしに、トルクスの#25を使用する。締め付けトルクは2 – 4 N·m。
一方のセンターロックのロックナットの締付けトルクは40 – 50 N·m。
ローターを外したところ。
6本ボルト留めタイプは、取り付け時にローターの裏表を間違えやすいので注意する。
パッド当たり面のアップ
多少角が立っているものの段差はほんの僅か。
今回、フロント側のローターを交換するまでのパッド交換の回数はフロント側が3回、リヤ側が1回。
圧倒的にフロント側の消耗が大きい。ブレーキはフロントがとても重要だということが分かる。
ディスクブレーキローターアダプター
6本ボルト留めタイプのローターをセンターロックタイプに変えるアダプターが出ている。その名もディスクブレーキローターアダプター(SM-RTAD05)。
これを使ってフロント側に6本ボルト留めタイプのローターを付ければ、前後でローターをローテーションできる。
だがよくみてみると、ロックリングが外セレーションタイプになっている。SM-RTAD10の方はロックリングが内セレーションになっているのに、現在はSM-RTAD05しかラインナップされていない。なぜなんだ?
ローター固定の6本ビスはトルクスのサイズが1番手小さくなっているようだし、shimano純正パーツでも見た目が華奢なので強度に疑問が湧く。SM-RT86のようなボルト穴部分がアルミ製のローターには使用不可ともなっているし。
空荷ではよいとしても、荷物を大量に積載したとき、ブレーキに過大な負荷が掛かってとても危ない気がする。
リヤではなしにフロントの方だからより慎重になった方がよい。
ブレーキローター交換まとめ
ブレーキローター(SM-RT64)の厚み 新品時1.8mm 使用限界 1.5mm
0.3mm以上減ったら即交換。未舗装路を走ったり汚れたままにしておいたりすると減りが早くなる。ローターが減ってくるとケーブル・パッド調整が難しくなってくるし、安全のためにも早めに交換したい。
フードデリバリーの仕事は思いのほか自転車を消耗する。新しいローターだと気兼ねなく思いっきりブレーキを掛けられる。自転車は整備すればするほど乗り心地が良くなる。チェーンを洗浄して注油し、ディレーラーの調整しておけば、気持ちよく走ることができる。実に楽しい乗り物だ。
さあて、今度は自転車でどこへ行こうか。