ALIVIO 2ピースクランクとチェーンリングの着脱【後編】

こんにちは。からあげです。

 

今日は昨日のALIVIO 2ピースクランクとチェーンリング着脱の続き。
飛行機輪行をする際にペダルが外せないと、突起物が出ていて危険だし、コンパクトではないため、航空会社に積載を拒否されるおそれがある。そこで、ペダルを外せない場合に備えて、クランクごと外せるようにしておこうと、勉強を兼ねてクランクの取り外し作業をしてみた。実際やってみると非常に簡単で、これならペダルを外せなくても大丈夫だと安心した。

クランクを外したついでにチェーンリングを外すことにしたのは、消耗が激しい駆動系周りの整備に備えてのことだ。

今回、オーストラリアでは舗装路の走行が主となるが、一部未舗装路を走る計画を練っている。北海道ツーリングの時に未舗装路も走ってみたが、舗装路と違い体力と駆動系の消耗が激しいことが分かった。試験的にブレーキ以外敢えて整備しないで走ってみると、案の定チェーンは汚れと摩耗でドロドロ伸び伸びになり、スプロケットの消耗も異常なほど早めてしまったのだった。(チェーンリングもかなりの消耗あり。)

オーストラリアは都市の間が非常に離れているため、その間でトラブルが起きれば、自分で対処する必要に迫られる。駆動系は動力を伝達する重要なパーツで、チェーン・スプロケット・チェーンリングは常に良好な状態を保っておかねばならない。日々の掃除は必須だろう。

都市に着いた時は、必ず自転車屋さんに寄ってメンテナンスや消耗品の購入を行う予定だが、パーツの交換時期が少し早ければ、とりあえずパーツを購入しておいて、そのあと自分で交換することにするかもしれない。早め早めの交換は安心だが、まだ使えるパーツを捨てることになり、資源の無駄遣いとなる。自称、地球に優しい探検家の私が無駄遣いをする訳にはいかない。

ということで、チェーンリングの交換に備えて、実際に着脱の作業を行ってみることにした。

 

ALIVIO チェーンリングを外す

チェーンリング付きのクランクを下に固定して6角レンチの5mmで緩めてみる。
チェーンリングの刃が傷まないように下に合板を敷いておいた。

柄の長い六角レンチを使用したが、全く緩む気配はなし。
剛性がなくて捻れて力が入らない。

無理に外そうとすると、工具を壊してしまうのは、目に見えていたので、ホームセンターに行って必要な工具を買ってみた。

この時、自転車が2台あって良かったと思った瞬間だった。

ホームセンターで購入してきたヘキサゴンソケット。
ソケットの先に六角レンチが付いているもの。
携帯用の六角レンチとは全然違って剛性が高く、これで緩まないものはないと言っていい。
KTCが欲しかったのだが、あいにくホームセンターブランドのものしかなかった。

ソケットレンチに嵌めて再びやってみると、カチンという小気味よい金属音を響かせながら、締まっていたボルトが緩んでくれた。

さすがはソケットレンチ!適材適所の工具の使用は、自転車にも優しい。

まずは一番内側のインナーリングを外したところ。

荷物を満載するロングツーリングでは、出番が多いインナーリング。
おっさんはいつもミドルとインナーばかりで、アウターに入れることはほとんどない。
アウターは荷物がない時の追い風や下り坂の時に使うくらい。

続いてミドルとアウターリングを外す。ミドルとアウターは共締めになっている。

問題はこのボルト。OJC4のクラリスはナットに溝がないため、連れ回り防止に引っ掛けレンチを使用する必要があるが、なんとALIVIOのクランクセットは溝があるため、引掛けレンチが不要になっている!思わずニヤリとしてしまった。

このナットの出っ張りが、チェーンリングの溝に噛み合って、連れ回りしない仕様になっている。

些細なことだが、余分な携帯工具が一つ減るだけで嬉しい。

ナットをチェーンリングに嵌めたところ。
ナットには引っ掛けレンチ用の溝は付いていない。

インナーリングとアウター・ミドルリングの取り付けボルトは共通。
これも嬉しい仕様。あれこれボルトが違うと、予備は必要になるし、いちいち工具を持ち替える必要があってストレスになる。おっさんはストレスに非常に敏感。

ヘキサゴンソケットを使って、安全にチェーンリング3枚を取り外すことができた。

やったね!

ついでに丁寧にウエスで拭いてピカピカにしておいた。

ALIVIO アウターリング

アウターリング表側。

こちらが裏側

shimano 40-30-22-AXという刻印あり。

インナーが22Tと歯車が少ないため、峠の登りでは立ちこぎの必要がほとんどなくなった。
快適快適!

 

ALIVIO ミドルリング

続いてミドルリング。一番使用頻度が高いリングで消耗が激しい。
だいたい7割方ミドルリングで漕いでいる。できるだけ万遍なく使用した方がいいのだが、漕ぎやすくて扱いやすいギヤを選択してしまう。

アウターまたはインナーだと、リヤをローやハイにするとたすき掛けになってチェーンに負荷が掛かるためできない。ミドルだと好きなギヤを選択することができるのがいい。

自分の中では、アウターリングは予備の位置づけにしている。

こちらが反対。ミドルにも裏表の区別あり。

shimano 30-AXの刻印あり。

これが押さえナットの溝。この溝は大助かり。

歯のようす

まだ走行距離1000kmで消耗はほとんどなし。

上からみたようす

 

ALIVIO インナーリング

一番小さなインナーリング。

インナーは峠の上りで多用するギヤ。

パッと見たところ、裏表の区別がないように思えるが、微妙に違う気がする。
組み立ての際は、野生の勘を頼りに行った。

22-AXの刻印

上から見たようす。

 

各リングの重さ

アウターリングは165g。

ミドルリングは84g。

インナーリングは38gとかなり軽め。

インナーとミドルなら、予備で持っておこうという気になる。

 

クランクの組み立て

BBは全くいじらず。グリスも全く劣化していないので、そのままにしておいた。

中にはshimanoのプレミアムグリスがたっぷりと詰まっている。

クランクのようす

クランクシャフトは軽量化のために肉抜きされている。
ホローテックⅡは中空構造になっている。

クランクとシャフトはガッチリと固定されて取り外しは不可。

このようにしっかりと付けられている。

CLARISとALIVIOのBBを比較すると、剛性が全然違うことは分かる。それくらい違いがある。

チェーンリング取り付け部のようす

クランクシャフトは中空構造となっている。

クランクシャフトのようす

クランクとかシャフトとか言っていると、機械のエンジンのように思えてくるが、実際人間がエンジンなのが自転車。機械のエンジンと違って一晩寝かせると回復するのがいい。最近、おっさんエンジンはポンコツになってきて、休みを多くしないとイケなくなってきた。無駄に燃費が悪いのも食費が嵩んで家計を圧迫する。本当に困ったおっさんだ。

クランクの取り付けは位置に決まりあり。

この太い溝通し合わせて取り付ける。

始め出先での作業のように、下において取り付けようとしたのだが、ペダルの重さもあって、アウターとミドルのリングを合わせづらくて、万力に挟んで作業を行った。

実際の作業では、太ももに挟んでクランクを固定した方がいいかもしれない。今回はよそ行きの服装であったため、自重しておいた。

万力に挟んで固定すると、抜群にやりやすくなって、あっという間に取り付けることができた。

溝付のナットのお蔭で、アウターとミドルリングの取り付けは非常に楽だった。
ボルトのネジ山にネジロック剤を塗布して、適度な力で締めつけておいた。

クランク周りは重要部品のため、トルクレンチを使ってキッチリ締めたいところ。
早めに手に入れておいて、出国前に締め直しておこう。

チェーンリング取り付け完了!

チェーンリングの着脱は六角レンチでは厳しい。実際に作業をやってみてよく分かった。
ヘキサゴンソケットがいる。

裏返してチェックする。

取り付け箇所に間違いはなし。

アウターリングの出っ張りとクランクの位置が合うように取り付ける。
チェーンが外れた時に、隙間に落ちてしまわないようにするためのもの。

インナーリングを付けたまま、アウターとミドルを外せるかは未確認。

掃除と点検を兼ねて、無難にインナーも外した方がいいだろう。付けっぱなしにしていると、固着する恐れもある。

クランクシャフトとクランクの溝を合わせて取り付ける。

角度を間違って取り付けないようになっている。クランクをコの字型に付けてしまっては、漕ぐに漕げなくなる。

クランクの溝。

一箇所だけ幅が広くなっている。

あとは忘れずに脱落防止用の板も取り付ける。
間違って取り外してしまったもので、本来は取り付けボルトを緩めるだけでいい。

右側の爪をマイナスドライバーなどで引っ掛けて上げておいて、専用工具でプラスチック製のボルトを外す。

専用工具にプラスチック製のボルトを付けたところ。
中空構造で強度はないので、優しく締め付ける。

クランク取り付けボルトは、2本を少しずつ均等に締めておいた。
このボルトもトルクレンチを使って確実に締めた方がいい。

自宅の整備の時にでできるだけトルクレンチを使い、体でトルクを覚えておいて出先では感覚で締め付ける。
人間の感覚は時に凄く適当になるので、気をつけておく。特に体調不良時は注意が必要。

元通りになったディスクトラッカー。

クランク周りを掃除してピカピカになった。

自分で作業するのは気持ちいいい。

 

オーストラリアの整備プラン

今回作業でBB抜き出し工具は不要と思った(BBは自転車屋におまかせ)が、チェーンリング着脱用のヘキサゴンソケットは非常に悩む。ヘキサゴンソケットを持つとなると、セットでソケットレンチを持つようになる。
今はラチェット機能の付いたハンドルではなく、ソケットをはめ込む金具に金属棒を挿してある工具の携帯を考えている。ソケットの金具だけだとそんなにかさ張らない。金属棒は外して代わりは6mmの六角レンチを使用する。

海外では駆動系のトラブルにも対処できるようにしておいた方が良いように思える。
チェーンだけ新品に交換しても、チェーンリングやスプロケットが傷んでいれば、あっという間にチェーンも傷んできてしまうだろう。アウターリングは滅多に使わないので、アウターを予備にして使えばいいようにも思える。う~む、非常に悩む。

あとはチェーンは2本用意しておいて、チェーンリングとスプロケットが消耗している時は、中古のチェーンを使うようにする。新品に交換した時は、チェーンも新しいものを使用して、中古の傷んだものは使わない。中古チェーンを使う場合は、チェーンリング・スプロケット・チェーンを全て交換するつもりで使う。チェーンは伸びてくると、あちこちで切れてくると思われるので、予備のチェーンピンを多めに持っておく。ミッシング・リンクで繋いで簡単に着脱出来るようにしておいて、定期的にガソリンで洗浄を行う。8速より9速のチェーンは細くなっているので、どれだけ耐久性が落ちるのかが気になる。ウエットタイプのチェーンルブは、ホコリ・砂やゴミを引き寄せるので、今回のオーストラリアでは使用せず、ドライタイプかあるいは完全に脱脂してチェーンルブなしで走行する。

 

ということで砂漠の未舗装路を走ってみようと思う。

ここで北海道ツーリングの経験が活きてきた!無駄にスプロケットを消耗させただけでは済ませない。それがおっさん。いやあ、本当に頼りになるな!

 

おわり