こんにちは。からあげです。
ナラボー平原に入って無補給区間が長くなり、厳しいツーリングが続いている。しかも毎日のように向かい風が吹き、容赦なくおっさんの体力を奪ってゆく。あと少し、とりあえず南オーストラリアと西オーストラリアの州境まで行けば、ロードハウスのレストランで何か食べられる。
風は一日中吹き続けたままで、朝になっても衰える気配はなし。さほど冷え込みはないが、風がある分寒く感じる。寝袋を抜け出すとテキパキと作業をこなして出発準備を整える。
素晴らしい景色を堪能出来た場所だった。白い石が転がる斜面で、できるだけ平らなところにテントを張って眠った。岩がゴツゴツしていたものの、日頃の修行の成果で何ら問題はなし。石の出っ張りを軟体動物のようにかわして眠る技を身に着けている。
技の習得には、本当に長い長い時間が必要だった。
馬鹿なことを言ってないで、さっさと出発しよう。
いつものように走り出してから日の出を向かえる。今日は霧はなし。スッキリと晴れ渡っている。交通量は少なく横風が吹いているのみ。おっさんの前進を阻むものはなし!
行け、Border Villageのロードハウス目指して!!
5km手前で設置されている標識。思わずガッツポーズ!
いえい、調子よく進んで来れたな。
南と西オーストラリアの州境を越えて移動する際のルールとして、野菜や果物、花、動物などを持ち込めない。
手持ちのバナナやりんごは全て食べてあって問題はなし。持ち込み禁止の物があれば、その場で処分しないとイケない。
これまで幾つもの警告の標識を見た。
Border Villageのロードハウスに到着!
意外に閑散としているな。
巨大なカンガルーがお出迎え♪
なんか手に持ってるな?
世界各地の距離を表示してある。
むむむ、チャリダー心をくすぐられる標識だな。
南と西の州境までやって来て、次の目標はPerth。
最短距離だとおよそ1,500kmだが、いろいろ寄り道するため、どうなるかは全く不明。
出発前に発表したルートどおりになるかは、これからの楽しみにしておこう。
服は汚れて、体はホコリと垢まみれ。ホームレス同然の姿。早く、シャワーでも浴びて来なさいよ!
シャワーは3ドル。カップラーメンが作れそうなほどの熱々はお湯が出てくる。時間は不明。しっかり体を擦ってキレイになったのに、まだお湯が出続けていた。勿体ないから途中で浴びるのを止める。おそらく10分間くらい。おっさんは丸坊主だし、小柄だから5分もあれば十分。
ランドリーはキャンプ場にあり。RPGみたいに通行人に聞いてようやくたどり着いた。洗濯機の料金は4ドル。乾燥機は3ドル。
2ドル硬貨を2枚投入する。アメリカにあったのと同じローテクマシーンだ。硬貨を入れてがちゃんと押すと洗濯機が動き出す。
洗剤の自動投入はなし。どうせそんなことだろうと思って、シャワールームの手洗い用洗剤を服に塗ってきてある。
洗濯をしている間に水を汲んでおく。
Dump Pointで水が出たのでこれを汲んでいたら、通りすがりの人に「この水は飲めないよ!ロードハウスで汲みなさい!」みたいなことを言われた。
先日、Nundrooのロードハウスで水を貰えないだろうかと聞いたところ、ミネラルウォーターの前に連れて行かれたのを思い出して、聞くに聞けない状態だった。
野生の勘でロードハウス内の水場を発見!
給湯器のラインと同じ水だから、飲用可能だろう。ここで5Lほど汲ませて貰った。
売っていたミネラルウォーターは1.5Lで6.5ドルと目玉が飛び出そうなほど高い。喉が乾いた時に1本買うくらいならいいが、調理用の水などを全て賄うとなると非常に高額になる。
いやあ本当に助かりました!
キャンプ場のランドリーに戻ると、洗濯が終わっていたので、外の物干し竿?に衣類を干す。
これがオーストラリアで一般的な物干し。物干しバッテン状になっていて、等間隔でステンのワイヤーが通されている。物干しは回転できる仕組みで、回しながら衣類を干せるようになっている。土地が広いオーストラリアならではのものだろう。
洗濯ものを干しているときに、キャンピングカーのおじさんがやって来て水はあるのか?と聞いてくれた。こういう心遣いは本当に嬉しくなる。ここのキャンプ場には水場はなく、ロードハウスに秘密の水くみ場があるだけ。私は丁寧に断っておいた。おじさんどうもありがとう!殺伐とした道路でも漕いで行ける元気を貰ったよ。
衣類がだいたい乾いたので、再びロードハウスに戻ってきた。行ったり来たり忙しいな!
軒下の木陰で自転車の手入れを行う。まずはカバンを外し、濡れたウエスで簡単に各部を拭く。そしていつもの取り付けビスの点検。どこにも異常はなし。
チェーン、ディレーラー、チェーンリングの汚れを拭き取ってから、チェーンのリンクに注油して、はみ出た油をしっかりと拭き取っておく。外に垂れたままだと汚れが付着しやすくなる。
よ〜し、手入れは終了だ!
レストランで注文したハンバーガーを待つ間。店内を徘徊する。挙動不審なおっさんがいたら私。
カー用品コーナーの片隅に自転車のパンク修理キットが売っているではないか!これは地味に嬉しい。
他にはチョコバーは3.5ドル、500mlの炭酸飲料のペットボトルが5.5ドル、小袋のスナックが5ドルくらい。袋ラーメンの単品は1.5ドル、カップラーメンは5.5ドルだった。ここは乾燥地帯のロードハウスで、日本だと3000m級の稜線にある山小屋の売店と同じくらいか。できるだけ多く玄米を持って来て良かった。
やって来ましたボーダーバーガー。13ドル。
ジュースやスナックを食べるより、レストランで食事した方が断然割安。道行くロードハウスで食事をして手持ちの食料を温存する作戦をとる。
美味い。これまでひもじい思いをしていたおっさんへのご褒美。
食事のあと、店内で溜まったブログ記事を作成しようとしたが、Telstraの圏内で電波が入るにも関わらず、異様に重たくて作業出来ず。
仕方がないのでこの先のルートチェックともう一つハンバーガーを頼んだ。
フィッシュバーガーにチーズをトッピングして12ドル。ボーダーバーガーの方がボリュームがあってお得感があるな。
パワーみなぎるおっさん。
準備は整った!よし、行くぞ西オーストラリア!!
州境を越えるにはゲートで検査を受けなければならない。
車の列に並ぶ。以前の渡し船のように順番を抜かすわけには行かない。
検査を受けるキャンピングカー。意外にしっかりと検査が行われていた。全てのドアを開けて中身をチェックしていた。
キャンピングカーは1台15分くらい掛かっていた。
持ち込み禁止物の一覧表。
自転車のカバン全てを開けて検査を待つ。
女性の検査官がやって来て、全てのカバンをチェック。食料袋を見ていたので、中身のチョコバーやスープの素を見せたら、すぐにOkが出た。動植物を隠し持てる訳がなく、すぐに検査が終わる。あとで「See you later!」と気の利くことを言ってくれた。
ゲートを抜けると、そこは西オーストラリア。抜けるような青空が広がっている。州境を越えただけなのに、雰囲気が変わったような気がする。気のせいかな?
制限スピードの標識。
一部の大型車を除いて110km/hとなっている。ビクトリアと南オーストラリアと同じ。
えっ、ロードトレインは100km/hだったのか?
お腹が膨れて、体がさっぱりして、妙にテンション高いおっさん。やっぱりシャワーは一週間に1回は浴びようか。オーストラリアではホットシャワーは高いわけじゃない。日本だと温泉入るのに700円だとか1000円もとるところもある。わたしゃ体の汚れを取りたいだけなのに、豪華な温泉施設なんて要らないのだ!
風は横風だが、おっさんにとっては横風はボーナスステージのように感じる。漕いだ分だけ進むのは嬉しい。
西オーストラリアに入ると、路肩が広くなって非常に走りやすくなった。なんとなくサイクリストを歓迎している雰囲気がある。
州境からすぐのEuclaに寄って休憩することにした。
次のロードハウスまではおよそ80kmで急ぐことはない。
あらカワイイ!クジラくんがお出迎え。
いい感じのピクニックテーブル付きの東屋を見つけたので、ブログ更新作業を行う。Eclaには高いアンテナがあって感度バリバリだった。サクサク作業が出来て助かった。
いつの間にか風向きが変わっていた!こうしてはいられん。出発だ!!追い風のチャンスを逃したら、次いつ来るか分からない。
いやっほー、下り坂だ!
風は左後ろからの追い風。失速せずに進むのが嬉しすぎる。
すれ違う大型車の風圧を無効化してくれるのも助かる。
向かい風だと全てがハードなのに、追い風に変わった途端イージーになる。ちょっと変わりすぎだろ!
坂を下り切ると、フラットな直線道路となる。漕いでも漕いでも真っ直ぐな道。
Euclaを過ぎたら、植生がハッキリ変わったように感じる。ところどころに白骨化したワラビーやカンガルーの死体が転がっている。Cedunaを過ぎてからは、カンガルーの死体を見ることがほとんどなくなっていた。ようやく動物が住めるような環境になったということか。轢死体で分かる環境の変化。
今日もまた道路脇でキャンプ。いい感じの茂みを見つけて、この中でテントを張った。道路から目立たず気持ちは穏やか。
今日、西オーストラリアに入って時差が1時間半発生した。
これで日本と何時間の時差になるのだろう?
スマホの時計は自動修正されたが、サイコンとデジカメの時計は手動で合わせないとイケない。
さあて、そろそろ晩飯の準備でも始めるかな?お腹が空いた。