こんにちは。からあげです。
昨晩は東屋に吊り下げた食料が気になって仕方がなかった。野生動物の身体能力は、便利な生活でダレ切った人間の比ではなく、時として驚異的な能力を発揮する。
あんな2mにも満たない高さに吊り下げていても、手すりからジャンプすれば軽く届いてしまうだろう。大切な食料を食い荒らされた挙げ句、掃除はしなければならなくなって踏んだり蹴ったりだ。
朝4時過ぎに起きると、早速東屋に行ってみる。どうか食料がありますように!
遠くから目をやると、東屋の梁で首吊りしているような袋が見えた。外観は異常なさそう。
近寄ってみると、確かに食料は無事だった!!助かった。
メインの食料はベアキャニスターに入れてあるが、この袋に入れた食料がなくなるとかなりの痛手だ。食べなければ、ペダルを漕ぐことができないため、自転車乗りにとって食料は自転車の次に大事なものだ。
今日は雌阿寒岳(めあかんだけ)に登ることにする。現在、台風が接近中でイマイチパッとしないが、早い時間に登れば大丈夫そう。まだ薄曇りのため、山頂からの景色も十分期待できる。
前回は火山活動による入山規制のため、登山することが出来なかった。次に北海道に来るのは爺さんになってからなので、このチャンスを逃さずに登ることにした。
テントからは全ての食料を出してファスナーをしっかり閉めておく。食べ物の匂いがしないように、朝食は外でとった。
ベアキャニスターに入り切らない食べ物は、昨日同様に東屋の梁に吊り下げておく。
この吊り下げ方式は、人間に対しては全くの無力だが、米や味噌汁などしか入っていない袋を盗ってゆく人間はいないだろう。
6時頃、駐車場の片隅にある登山口を出発して雌阿寒岳を目指す。
登山コースはオンネトーから登り、野中温泉に下り、オンネトーの遊歩道を歩いて戻ってくる。途中の阿寒富士は時間短縮のため、登らないことにした。
下山後は直ちにテントを撤収して足寄(あしょろ)方面に下る。予報ではいつ何時雨が降ってもおかしくないため、迅速に行動する。
登山序盤のようすは早送りして省略。
6合目過ぎから、樹林帯を抜けて一気に視界が開ける。
眼下には雲海が広がっているものの、上層が雲に覆われているため、それほどキレイとは言えなかった。
雌阿寒岳の上部は赤茶けた砂礫に覆われている。樹林帯を抜けると、風景が一変する。
砂のような緩い地面に足を取られて歩きにくい。
振り返ると阿寒富士が眼前にそそり立っていた。
前回は阿寒富士だけ登ったのだが、視界は全くなくて精神修行しただけだった。
砂の斜面に刻まれたジグザグ道。
特に阿寒富士は砂地で登りづらくてアカン。
はい、しょうもないおっさんギャグでした!
斜面の向こう側からモクモクとわき出る噴煙。
卵が腐ったような匂いがする。
噴火口のようす
山頂付近には大きな噴火口が出来ている。底に水が溜まっていた。
火口の縁を通って山頂に向かう。本コースのハイライトだ。
早朝に出発したためか、登山者の姿はなく貸し切り状態だった。
それにしても風が強くて寒い。酷使してボロボロになったウインドブレーカーを羽織った。
噴火口越しに阿寒富士を望む。
雲海から雄阿寒岳(おあかんだけ)が覗いている。
(画像中央の真ん中の山)
雌阿寒岳山頂に到着!
風が強くて、とてもではないが休んでいられない。さっさと下りるべ。雌阿寒温泉(野中温泉)方面に下山する。
噴火口を見下ろす。
底には赤沼と呼ばれる赤茶けた水溜りがあった。
ここだけ異世界のような気がする。ここは火星か?それとも猿の惑星か?
空模様が悪くなってきたため、さっさと下山する。雨が降る前にテントを撤収してしまいたい。
どうせ中で休まずに直ぐに撤収するから、撤収しておけば良かったと思った。途中で雨に降られても、東屋の下に入るなりすれば、濡れずにパッキングを済ますことができる。
まあ、それほど天気は悪くなかったし、要するに面倒くさかったんだ!
オンネトーを見下ろす。曇りのため、青さはイマイチか。
なぜか、登山道で猫とすれ違う。
私が近づくと立ち止まって、ニャーと挨拶してくれた。
車に轢かれてしっぽが千切れているようすから野良猫だろう。コイツはいったい登山道で何をしているのやら。まさかダイエット目的ではなかろう。
野中温泉まで下りて来たところで、休憩タイムとする。
1本増量中という恩着せがましいスティックパンを貪り食う。
どうせ1本を細く作っているんでしょ?と捻くれたおっさんが毒づく。おいおい、夢のない話はやめようぜ!
温泉の成分が出ているのか、赤茶けた湿地帯。
ようやくオンネトーに戻ってきたぞ。
キャンプ場に戻ると、食料を回収してテントを撤収する。
我ながら無駄のない動きだ。惚れ惚れするぜ!
オンネトーまで続く道路は、キャンプ場までで行き止まりのように見えるが、実は足寄へと続いている。ただし、5kmほどの未舗装路を走らねばならない。
この未舗装路が曲者で、全然締まっていなくてふわふわの状態だった。そのため、タイヤが取られて仕方ない。
普段少しでも抵抗を減らそうと、パンパンに空気を入れているため、余計にタイヤが取られる。かと言って空気を抜く気は全くないおっさんだった。
華麗なライディングで幾度とない転倒の危機を乗り越えて舗装路までやって来た。
もう何でもいい。このときほど舗装路の有り難みを知ったことはなかった。
なぜ走りにくいこの道を選んだかというと、日本一大きいと言われるラワンブキを見られるから。
ラワンブキが生えているところ。
なんと、平成28年の台風で打撃を受けたらしくて、生育がかなり悪いらしい。奥へと続く遊歩道がロープで封鎖されていた。
河川敷にあるフキ畑
確かに増水すれば、流されてボロボロになってしまうだろう。
遠目で見てもなんだか元気がないように思える。
それでも道路脇に高さが2mほどもあるフキが生えていた。
通常では高さが3mを越えるものもあるという。
前に立って記念撮影したかったが、ミニ三脚を置く場所がなくて、おっさん入りは断念した。
キャンプ場からは美味しい下りだったのだが、柔い未舗装路のためにブレーキ掛けっぱなしだった。ようやく舗装路に出ると、傾斜は緩やかになってしまった。
ああ、なんということだろう。せっかく頑張って坂を上ったのに、ブレーキ掛けっぱなしでエネルギーを無駄遣いしてしまうとは。
とほほ。
駐車場の片隅でシートを広げて昼食にする。
今日の昼飯はS&Bのホンコンやきそば。
セコマで78円で売っている。一つじゃ全然足りないので2個。
ホンコン焼きそばが美味しく作れるようになったら一人前。
男の自炊道は、長く険しいのだ!
あれ、水が多くて溜まってしまっているな。途中で水が多すぎたことに気がついたのだが、水を捨てるとソースの元も流れてしまう、かと言って水分が飛ぶまで炒めると、ガスを大量消費してしまう!
悩みに悩んでスープ入り焼きそばとした。
足寄までは下り基調だが、ところどころアップダウンあり。
昼飯を食って休んだお陰でラクラクやって来ることができた。
なんだこれは?
交通安全のタイヤマンだ!
足寄の道の駅に寄って休憩。
足寄から国道242号線を南下し、本別町にゆく。
そこには野宿者の聖地、無料キャンプ場がある!
スイーっと自転車を走らせて本別町にやって来た。
そうえいば、最近気がついたことなのだが、道東の人の車の運転は非常にジェントル。凄く気を遣ってもらって、逆に申し訳ない気してくる。
スーパーに寄って食料を購入した。蛋白質を取るために鳥肉を購入。おまけにおやつのアイスクリームも買った。
そしてキャンプ場へ。道の駅から少し奥に入った公園内にある。
第一キャンプ場をスルーして奥の第二キャンプ場にやって来た。誰もいなくて凄く静か!
おっさんを探せ!いったいどこにテントを張っているでしょうか?
広大なキャンプ場内にバンガローが2棟あるだけ。夕方になって一家族だけバンガローに泊まりにきたが、すぐ側を川が流れているため、物音はほとんど聞こえず。
非常に静かな夜を過ごすことができた。
さあて、これからどうしようかな?
おわり