こんにちは。からあげです。
今年のオーストラリアツーリング後、ケアンズから直行便で帰国し、成田空港から東京経由で山梨の小屋に着いたのは10月下旬で、すでに遠い昔のこと。あの過酷なツーリングの日々は夢だったのか、現実のように思えない。それでも体の奥底の細胞にかすかな記憶が残っているような気がしないでもない。いったいどっちなんだ!
久しぶりに小屋に帰った日の晩から雨が降り始め、翌日遅くまで降り続いた。
屋根の波板に落ちる雨音を聞きながら本当によく眠った。
ロフトで寝ながら屋根裏を眺めていると、ようやく我が家に戻ってきた実感がふつふつと湧く。しばらく小屋に滞在して長旅の疲れを癒そうか。
朝起きるとすぐに薪ストーブに火を入れる。
雨が降ると分かっていたので、昨日のうちに煙突掃除はしてある。
今回、煙突は付けっぱなしにして行ったのだが、特に傷んでいるようすはなし。
シンプルなT字状のエンドは、風を受けにくく重量も軽くて留守がちな人間にはピッタリだ。自然通風を促す換気扇のような役割も果たしてくれるような気がする。
小屋内の湿気を飛ばすために、薪を惜しむことなく盛大に燃やす。イヒヒ
小屋にほとんどおらず薪が全然減らない。
屋外に野積みされた薪は腐り始めているところなので、早めに消費しておきたい。
ガラス越しに炎を眺める。こうして何も考えずにぼーっとするのは久しぶりだ。
毎日がテントで野宿生活だと、落ち着く暇がない。天気に左右され、接近する人間に注意を払わねばならない。人間が全くいない奥地だと、道がなくて自転車では行けないし、自然や危険な野生動物に脅かされる。
そう、この世界にのんびり暮らして行けるような天国など存在しないのだ!あるのは幻想。
ゴロゴロしていても腹は減る。体力回復にはしっかりと栄養をとる必要がある。
玄米ご飯を入れたクッカーをストーブに掛けてから、味噌汁用の具材をチマチマ切っているところ。
やはり薪ストーブで炊く玄米ご飯は格別だ。米粒がぷりぷりしていて非常に美味い。すでに何年前のものか分からなくなっている玄米でさえ、白米を食べるよりも美味い。
オーストラリアでは玄米がどこのスーパーでも売っていたお陰で、栄養不足に悩まされることはなかった。
霧に包まれる小屋。
半年も放置すると完全に雑草に埋もれてしまう小屋。雨の合間にせっせと草刈りを行う。
山林内に生える草はやたら丈夫な奴があって、鎌で刈っているとすぐに切れ味が落ちてくる。
切れ味の悪い刃物は危なくストレスが溜まるので、作業中にこまめに刃を研ぐ。
研いで切れ味が復活したナタと鎌。ナタは太い草や若い木をぶった切る時に有効。
手動の道具はシンプルで扱いやすい。見た目で状態が分かるのもいい。一方の原動機付きの道具は、音がやたらに煩いし、見ただけでは状態が分からないのが困りもの。
長期間小屋を留守にする人間には、手動の道具の方が使い勝手がいい。
雨が降ったり止んだりして外に干せないので、小屋の中は干し物だらけ。
薪ストーブの熱で小屋の中だけは南国の陽気。
それにしてもカメムシの多さはどうにかならないものか?外に放り出しても放り出しても、どこからともなく奴らは出てくる。夜間、ロフトに上がってヘッドライトの明かりで本を読んでいると、顔に向かって飛んで来やがる。すんごく鬱陶しい。
久しぶりの晴れ。漆喰の壁が朝日に浮かぶ。
よし、久しぶりに気合を入れて作業でもするか!いつも短時間チマチマとしか作業をできなかったからな。
小屋の周りは草刈りが終わって風通しが良くなった。清々しい秋の1日。
せっせと草刈り作業。
おっさんはふと思い出したように資材置場のシートを剥いで中の木材を乾燥させる。おっとイケない。忘れるところだった。オーストラリア出発前にシートを新品に交換しておいたお陰でほとんどダメージはなし。何かの小動物が住み着いていたようで、あちこち糞まみれとなっていた。普通自分の住処でウンコはしないと思うのだが。この下等生物め!
もう小屋に手を加える気はなし。これだけの木材があれば、当分の間薪ストーブの燃料に困ることはないだろう。全て燃やしてしまえ!キレイサッパリ燃やしてしまえ!忌まわしい記憶とともに燃やしてしまえ!!
明日は明日の風が吹く。未来の心配をして何になる。
貴重な晴れ間に山を下りて買い出しにゆくことにした。
荷物を下ろしたディスクトラッカー。
水を入れていたペットボトルはオーストラリアに出る時に処分してしまったので、今回買うことにした。欲しいと思う時にゴミ箱の中に捨てられていない。
日本にいると不思議とコーラを飲む気にはならない。真剣に自転車を漕いでいないからだな。
必死になって坂を上って帰宅。町に降りるだけでもかなりの心構えが必要。気軽にホイホイとは行けない。汗が滲んだTシャツの首周りを広げて冷却効果をアップさせる。
それにしても暑いな!もうそろそろ11月だというのにこの暑さだ。
リアのカゴの上に段ボール箱を縛って戻ってきた。
カゴは結束バンドで留めているため、カゴの付け外しの都度新しい結束バンドが必要となる。
今後は簡単につけ外しできるように改良しようと思いつつも、結局いつものようにロープで縛ることになった。付け外しの手間は掛かるが、余計な資材を消費しないのがいい。ロープは繰り返し使用できる便利な道具!
以前から気になっていた鬱陶しい切り株を取り除く。
ようやく腐ってバールで起こすことができるようになった。
これでちょっとだけ快適さがアップ。ときどき躓いて転けそうになっていた。
ようやく晴れたと思ったら、翌日から再び雨が降る。小屋に帰ってから晴れより雨や曇りの方が圧倒的に多い気がするな。今年は天候不順過ぎる。
雨樋から流れ落ちる雨水。帰った当日に掃除をしておいたので、雨水の流れはスムーズ。
雨の日は傘をさしながら、外回りのチェックを定期的に行う。
小屋の中で基礎と屋根が一番重要。具合が悪いところは早めに手を加えておかないと、傷みが進行して手遅れとなる。
今のところは問題なし。
小屋の裏手の渓流を見にゆく。ここは危険渓流となっているようだが、今のところは問題なし。今年は台風の被害が多かったようで、帰国のずい分前から小屋が気になっていたのだが、自然災害の被害は全くなし。ホッと胸をなでおろす。
小屋のある場所は緩傾斜の地形で水はけがよく、周囲は森に囲まれていて風もそれほど吹かない。危ないのは、木々の葉っぱが散って風通しが良くなる冬季。強い季節風が吹くと倒木があちこちで発生する。小さな小屋は倒木の直撃を受けるとひとたまりもない。
小屋にいる時、自転車は小屋の中に入れる。自転車は屋内保管が基本。雨ざらしにしておくと、あっという間に傷む。町ではありえないほど錆びついたママチャリをよく見かける。
ゴロゴロしながら自転車を眺めてオーストラリアを思い出すのもいい。
昼飯はいつだってラーメン。卵とツナ缶を入れた豪華版。
今年の春から南側のブルーシートの取り付け位置を変更して小屋の中が劇的に明るくなった。
雨の日でも比較的明るくて過ごしやすくなった。
日当たりが良くなり、長期留守してもかび臭くならないようになった。これは非常に大きい。今までなぜ気が付かなかったんだ!
一晩雨が降って一輪車にかなりの水が溜まった。
これと言って使いみちのない水。そこらへんにぶちまけておく。
薪用として置いていた丸太にキノコが生えだした。もうこうなったら、薪として使えない。
敷地内のヤブの中に放って土に還した方がいいだろう。
薪割りを行う。
薪割り台が朽ちてきて使いづらくなってきた。薪として使える丸太も残りわずか。薪割りは筋トレと暇つぶし。
玄関前のウッドデッキは晴れの日のくつろぎスペース。ここがおっさんのお気に入りだ。
晴れの日でも薪ストーブを焚く。別に寒い訳ではなく、小屋の中を乾燥させたいため。
ジメジメとした湿気は心を憂鬱にさせる。鬱な気持ちよさらば!
天気が回復した日曜日。久しぶりに山歩きに出かけることにした。
近所の川までやって来ると、以前とは見た目が変わっているような気がする。
雨が降るとすぐに増水するところで、近頃は大雨が降ることが多くて荒れている。
林道はいつの間にか水が流れるようになり、路面がガタガタになっていた。
すでに通行止めとなって久しい林道だが、さらに荒れてきた。
新たに崖が崩れている場所を発見!崩れても復旧工事することはなく、ただ荒れてゆくのみ。こんな使いもしない林道をなぜ造ったんだ?
ろくに住みもしない小屋をなぜ建てたんだ?と言われると返答に困る。
山の上まで登ってみたが、雲に包まれてイマイチぱっとしない。
時期的には紅葉のシーズンなのだが、てんでバラバラに色づいている。
今年の秋もいつの間にか紅葉が終わっていたというパターンか?
久しぶりにゴローS-8を履いて山に登って下りてくると、足腰がガタガタになった。
自転車ばかりに乗っていると、体力は付くが足腰が弱くなる。心肺機能は平気でも、関節が痛くなってくる。もう年なのか?いや年齢を言い訳にしてはダメだ。自転車だとタイヤが衝撃を吸収してくれるため、関節に負荷がかからず体に優しい。
だがそれがダメなのだ!自転車ばかりに乗っていないでたまには歩け!
調子に乗って硬いアスファルトの上を毎日バカみたいに走っていたら、脚を痛めてしまいもう二度と走れない体になってしまった。短時間ならいいが、ちょっとすると脚が痛くなってくる。柔らかい芝生の上を走っても違和感を感じる。これからは歩くことにしよう。
しばらく小屋に滞在するうちにすっかり小屋ぐらしも飽きてきた。帰ったばかりは楽しくてもすぐに飽きる。一人きりだとそうなる。何かをやっていないと、おかしくなりそうになる。草刈りが一段落すると、何もやることがない。
すでに小屋の拡張作業をする気はなく、荷物が保管できて雨風を凌げればそれでいい。それには十分過ぎる小屋だ。こまめにメンテしておけば私が死ぬまでは十分持つだろう。
もうやることがない小屋。小屋にいるとダメになりそうな気がする。用が済んだらさっさと出て行くべし。
ロケットストーブを小屋の中に入れておく。
断熱材に砂を入れたため、無駄に重たくて移動させるのに一苦労。ちょっと運ぶだけでも息が荒くなる。低負荷長時間の運動は得意だが、重たいものを持ち上げるなど高負荷の運動は苦手。いつの間にかそういう体になってしまった!
小屋を出る時は天気がいい時に。
今度小屋に戻ってくるのはいつになるだろう?そんなことは分かりもしないし、分かろうとも思わない。ただ帰って来たくなったら、その時来るだけだ。
よし、ではそろそろ行こうかね。明日に向かって走っていこう。
この道が続く限り。