小屋暮らしが終わるとき

こんにちは。からあげです。

小屋暮らしをやめた理由

すでに小屋暮らしはしていない。
いつか書こうとは思っていたが、ずるずると引き伸ばしているうちに今になってしまった。
かつて人に小屋暮らしを勧めたこともあった。本当に申し訳ない。

どうして小屋暮らしをやめたのか。

単調で飽きてしまったから。

会社勤めを辞めたからといって、別に隠居したわけではない。単に低コストで維持できる生活基盤が欲しかっただけだった。
私にとって小屋暮らしは単調で発展性がまるでなかった。いつも同じ玄米ごはんと具だくさん味噌汁を食べ、小屋周りの手入れをやり、時々PC作業をやり、周辺を散策する。

毎日同じことの繰り返しで刺激がない。

そんな単調な暮らしに飽きていたことに加え、周辺環境の変化と自転車生活には厳しい山間部に嫌気がさした。
そうだ以前から飽きた飽きたと書いていたではないか。

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我慢の限界を超えたのは3万円の商品券を消費するためだけに小屋に戻ったあの時。

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薪ストーブを盛大に焚いてごちそうを食べ終わったとき。ここでやり残したことはない。今が潮時だという気持ちが急に沸き起こった。自分の本心に逆らうのはもうよそう。
我慢して小屋を維持し続けても得るものはない。長期留守にして帰る度に、草刈りに追われカメムシ退治に明け暮れる日々。もううんざりだ。

私に相棒がいれば飽きることなく続けていたのかもしれないが、そもそも小屋暮らしを選んだとは思えない。
田舎はただでさえ不便なのに、あえて不便な小屋暮らしを選び、さらに不便な自転車生活をするなど正気の沙汰ではない。

確かに小屋暮らしには大した金は必要ないが、貴重な時間が大量に消費される。水くみ、薪割り、草刈り、落ち葉の処理、買い出しなどなど。金と時間を天秤に掛けると、決して割のいい生活とは言えない。

手放すことを決めたら、気が変わらないうちに即行動した。不動産屋を通して売りに出した。
そして数ヶ月が経過したある日、不動産屋から買いたい人がいるという連絡を貰った。
それからは、あれよあれよという間に話が進み、あっという間に話がまとまってしまった。

 

小屋の片付け

放置気味だった小屋に久しぶりに帰る。
今回やって来たのは最後の荷物整理のためだ。

幸いなことに現状渡しだったので、明らかな不用品は処分してほかは小綺麗に片付けておく。
今見ると、こんな天井の低い小屋によく住んでいたなと我ながら感心する。(笑

荷物の引き上げにレンタカーを借りてやって来た。
さすがに自転車ではキツすぎる。

今何が恋しいかというと、薪で焚く薪ストーブとロケットストーブ。
今の暮らしは薪の入手は困難だし、薪を燃やせる環境ではない。

非常に残念だが仕方がない。

久しぶりに帰ったこの日。盛大にロケットストーブを燃やして炊飯した。
薪はまだ大量に残っており、今回の滞在中には使い切れない。

最後のぜいたくとして燃やしまくった。

雨が降って山林内がジメジメしても、薪ストーブを焚けば非常に快適になる。

雨だったこの日。小屋の整理をやる。床板を外して床下収納庫の荷物を出す。

天井は低くなったが、荷物が片付き意外と使い勝手が良かった床下収納庫。雑多な荷物を放り込んで蓋を閉めるだけで片付いた気になる。

小屋裏の資材置き場は全て片付けた。
使えそうな廃材は人に譲り、燃えるものは切り刻んで薪ストーブに放り込み、燃えないものはよそに持って行って全て処分した。

松の切り株の抜根で掘り出した石。
それらを積み上げて傾斜地が少しでも平らになるようにした。

作業中に意識が飛び、別世界にいるような不思議な体験をしたあの日。あれは何だったのだろう。

朽ち果てつつある松の切り株。

来る日も来る日も剣先スコップ片手に穴掘りした日々。
想像以上の重労働に疲れ果てた。
ご飯を食べてあと眠い目をこすりブログをなんとか更新していた当時。懐かしい。

薪ストーブを焚きすぎてサウナ状態になった小屋の中。
玄関扉を開け放ち熱気を逃がす。

ストーブの天板のうえに置いておくだけで、何でも美味しく調理できる。
IHクッキングヒーターでは絶対に出せない味だ。

適当でもうまい。それが薪ストーブ。

焼き立ての鶏肉を頬張る。

出発の朝。
ガランとした小屋の中。
これで本当に最後だ。

薪ストーブは完全消火して近くに置いていた薪は外に出した。

薄暗いロフト。
ここで何度寝たのだろう。

壁をぶち抜いたときは寒かったな。

ロケットストーブ周りも小綺麗にした。
最後の滞在で使ったのは初日のみ。

ロケットストーブが小屋の暮らしを支えてくれた。細い枝でも松ぼっくりでも、何でも燃料になる。

コンポストトイレも片付けてきれいにした。
ペール缶の中身は埋めて洗っておいた。

小屋から離れた洗い場で小屋を眺める。
こじんまりしたいい小屋だった。漆喰の白がじつにいい。

洗い場と小屋をつなぐ小道。
洗い物やポリタンクを持って行ったり来たり。
もう下草に埋もれてしまっていることだろう。

戸締まりをして小屋をあとにする。

いろいろなことを経験させてくれた小屋ともお別れだ。今までありがとう。
短い間だったが、じつに良い時を過ごさせてもらった。

 

今後小屋暮らしを再びする可能性

今後再び小屋暮らしをすることはあるのだろうか。

もう十分だ。と言いたくなるが、年間少しの間だけならしてみてもいいかもという気がしないでもない。
いい土地が見つかればまたするかもしれないし、小屋とは無縁の生活で終えるかもしれない。
当分の間は今の生活を続けて行こうと思う。

人生守りに入ってしまうと楽しさが失われる。今後どうなってしまうのか。先行き不透明感がわくわくどきどきをもたらす。平穏無事な生活は精神を堕落させる。
やりたいことは全てやり。やりたくないことは一切しない。将来のことなど気にしない。

自分がこの世の中心だ。われこそが神。

 

ということで小屋暮らしはこれでおしまい。長い間ありがとうございました。