【西日本ツーリング2020】待ちに待ったロケットの打ち上げ当日

こんにちは。からあげです。

 

長きにわたってしつこく降り続けた雨はようやく上がり、しばらく天気が安定する兆しを見せ始めた。
するとロケットの打ち上げは「2020年2月9日(日)10時34分~10時39分」と、3日前になって突然発表された。

だがまたしても大雨となりテント内が浸水。打ち上げ前日の午後になって天気が回復すると、中の荷物を外に出して乾かす。あまりの雨続きでテント内にカビが生えだしていた。

三菱重工 | H-IIAロケット41号機の打上げについて
H-IIAロケット41号機(H-IIA・F41)による情報収集衛星光学7号機(※1)について、機体空調用の地上設備配管の損傷発生により、2020年1月28日の打上げを見合わせておりました。調査の結果、当該配管の腐食が原因であることを確認し、...

 

自転車カバーの上で荷物を広げる。
中央に見える白い袋は玄米が入ったもの。いくら毎日同じものを食べ続けられる私でも、インスタントラーメンばかりだと体調がおかしくなってくる。探検隊の隊長だけに体調管理はしっかりせねばならん。玄米だけは欠かさずに手元に置いてときどき食べている。

日が照ってソーラーパネルで充電できるようになると、暇を見つけてはコツコツ仕事をしていた。リアルタイムのあと時差更新をも止めてからはずいぶん楽にはなったものの、ささやかな現金収入源を維持するためには完全に更新を止めるわけにはいかない。

それにものを書かないと頭がボケてくる。時々思い出したように猛烈な勢いでタイプして書き留めている。

ロケット打ち上げ当日、4時起きして食事を済ませる。
長い間お世話になった宇宙が丘公園とも今日でお別れだ。

名前のとおり、ここ宇宙が丘公園でもロケットの打ち上げを見学することができるが、発射場から遠いため迫力に欠けるという。屋久島のロケットマニアの方からそう聞いていたので、勧められた公園に向かうことにした。

テントを撤収し、自転車に全ての荷物を積んで公園を出発したのは7時前。まだ日の出前の周囲が明るくなり始めたころ。

南種子町のなかをゆく。
空は厚い雲に覆われているが、天気予報では晴れるとのこと。
打ち上げが明日に延期されても、もうここには戻らない。
戻らないったら絶対に戻らない。そう自分で決めたからだ。特に意味があるわけではない。

日の出を迎える。
早朝にも関わらず、通りがかった公園前には人影あり。
種子島にはロケット打ち上げを見学できる公園がいくつか整備されていて、当日は見学客でどこも賑わうのだそう。公園出入り口に配置された警備員が交通整理をしていた。

これより先は通行止め。打ち上げ当日、発射場から半径3km以内は立ち入り禁止区域となる。
立入禁止区域内に住む島民は避難場所に指定されている公民館などでテレビ中継を見るんだとか。

島内の至るところに交通規制の看板あり。

こちらは冠水時に閉じられるゲート。
種子島には水はけが悪い場所があって、大雨が降ると低い土地一帯が水浸しになるそうな。そう、宇宙が丘公園の多目的広場のように。

まだ打ち上げまで時間があるので、少し寄り道してゆく。
海水が入り込んでいる河口付近にはマングローブの森が広がっている。その森には遊歩道が整備されて散策できるようになっている。

カヤックやカヌー乗り場も整備されていたりもする。

近くの公衆トイレには嬉しい冷水シャワーの設備あり。そのトイレの個室内に私物と思われる石鹸などが入った洗面器が置かれていた。

強風で設置した看板が飛ばないように、柵に針金で固定されていた。
柵が傷まないようにとウエスを当てられている。こういうところに日本人のきめ細かい配慮を感じる。

ロケット打ち上げの見学は発射場からもっとも近い恵美之江(えみのえ)展望公園に限る。
ロケットマニアの方から勧められた場所だ。

発射場から3kmちょっと離れたところにあり、立ち入り禁止区域からわずかに外れた好立地。間近で見られるためもっとも人気のある公園だ。
車の場合だと前日に行って駐車場を確保しないとイケないが、自転車の場合は空きスペースに停められるので当日直前でも問題なし。
オートバイでも空きスペースに停められると思うが、あいにくオートバイを一台も見かけなかったのでハッキリしたことは分からない。現場で待機する警察官の指示に従って欲しい。

混雑を避けるため、ロケット打ち上げの前後の時間は、恵美之江展望公園の周辺道路は一方通行となる。

8時過ぎの時点で公園から遠く離れた道路脇の特設駐車スペースもほぼ満車。
優越感に浸りながらゆうゆうとペダルを漕いでゆく。

恵美之江展望公園のようす

空きスペースはたくさんあるが、混乱を避けるために駐車できる場所は限られている。
各所に配置された警備員と警察官が目を光らせている。

自転車は全くのスルー。好きなところに停めてもいいよとのこと。

公園内はドローン禁止。
ポケモンGOができるかは不明。

まだ打ち上げまで2時間以上あるが、すでに多くの人達が座って待っていた。
ベストポジションで撮影したいのなら、前日の明るいうちに行っておいたほうがいいだろう。
観察したようすでは、駐車場での車中泊は黙認されているようだ。その証拠に県外ナンバーのキャンピングカーが何台も見られた。

数年に一度あるかないかの大きなイベントだ。多少のことは大目に見てくれる。それが種子島。

ただ無人の場所取りだけは厳しく禁止されている。
シートやロープだけ張って場所取りしておいて一時帰ってしまうのはダメ。
有人による場所取りのみ有効となる。犬を繋いでおくのもたぶんダメ。

駐車台数が制限されているため、人はそれほど多くない。必死にならなくとも、十分ゆとりを持って見学できる。

公園から発射場方向を望む。画像中央の大きな建物がロケット組み立て棟。
ロケットはすでに発射台に移動されている。あとは打ち上げを待つだけ。

天気は快晴で微風。ロケット打ち上げには最高の日となってくれた。

会場に設置されたスピーカーからは機械音声によるカウントダウンが流される。
刻一刻と迫るロケットの打ち上げに、公園内の熱気が高まってゆく。

公園内には出店が出店され、食べ物や記念品グッズが販売されている。

好きなところに停めていいと言われたが、言葉通りに受け取るのは止めにして邪魔にならない端に自転車を停める。

ゴソゴソと荷物整理をやっていると、写真を撮ってあげると言われたのでありがたく言葉に甘える。
自転車で来ているのは私のみ。まるで珍しい生き物を見るかのような興味津々の視線を浴びた。

シートを敷いて自分の家のように寛ぐ。野宿者は地球が我が家。

しばらくすると、京都からやって来たというサーファーから声を掛けられた。なんでも種子島は波乗りには最高のいい波が立つそうな。ちょうどロケットの打ち上げと休みが重なったので、サーフィンの合間に見学しに来たのだとか。普段は自転車にも乗っているとのことで話が弾んだ。

男子トイレのマーク

宇宙服を着ているのが面白い。たぶんココだけ。

毛布を被って今か今かと打ち上げの瞬間を待ちわびる人たち。

お茶でも飲みながらチョコレートを食べる。
おっさん至福の時。

ここには「公園内でストーブを使っちゃいけないじゃないか!」と言うような無粋な人はいない。

おや?なんだろう。この行列は。
2月に入った時点でも、新型コロナはまだ大陸で流行っていただけだったので、風邪をひいている人以外でマスクをしている人はなし。

ピンバッジを配布していた。
大量に用意していたようで、並ばずともピンバッジを手に入れることができた。

ロケットの打ち上げ日和であるとともに、充電日和でもあった当日。
ソーラーパネルを広げてスマホなどを充電する。

長雨でバッテリーが尽きかけていた。強い日差しを浴びて全回復。

ロケット打ち上げ3分前。

さあ、もうすぐだ!会場内の熱気が最高潮に達する。

Goproがない今回はスマホで動画撮影することにした。
手持ち撮影する場合、スマホで十分。SIMフリーの安物、Hauwei P10liteだ。

これまで撮り溜めた動画を編集してアップしたいのだが、手持ちのノートPCのCPUが低スペックのCore i3で全く作業にならない。

ここ最近になってようやくパソコンの買い換えを決断する!だが、金の掛かることなのですぐには難しい。気長にもうしばらく待っていて欲しい。

ロケット打ち上げの瞬間。

ロケットが光に包まれたかと思うと、周囲に煙がモクモクと広がり、3秒ほど遅れてバリバリという轟音が鳴り響く。
そして、みるみるうちに高度を上げて宇宙の彼方に飛び去っていった。まるで打ち上げ花火のよう。

ロケット打ち上げ後のようす

ロケットはすぐに肉眼では見られないほど小さくなって消え、あとには蛇状の煙が残された。

会場内は興奮のざわめきが起こり、おっさんも思わず声を上げてしまう。一見の価値あるロケットの打ち上げ。是非とも自分の目で見て体感して欲しい。私の乏しい語彙ではとても表現できない。

しばらくして打ち上げ成功のアナウンスが流れると、公園内に拍手の音が鳴り響く。よくやったロケット。よくやったJAXA!

打ち上げの成功を見届けると、見学客が続々と帰り始める。
私はその場に留まって人の波が引けるのを待つ。

30分もすると公園内はガラガラになった。あとに残されたのは警察と関係者、少しの暇人のみ。

出発前に発射場が見える場所で記念撮影。
今日からツーリングの再開だ。否が応でも気分が盛り上がる。

公園内の一角にさらに見晴らしの良い場所あり。

なんだろう?

ここはふるさと納税の高額納税者のための優待席。

一般人の立ち入りは禁止。おそらく事前に招待券が送られてくるのだろう。

優待席からの見晴らしは最高だった。
真正面に発射場が見える。種子島に多額の金を納めた者のみが許される優待席。
どんな人が利用するのだろう。そしてどんな気分だろう。

こうして再び始まった西日本ツーリング。このあと新型コロナがじわりじわりと忍び寄ってくることになる。

 

おわり