チャリダー脳に変わった瞬間、脳内世界地図が書き換えられた

こんにちは。からあげです。

 

長年続けていたサラリーマンを辞めて、フリーになってから自分を取り巻く世界はガラリと変わった。世間一般の人と距離を感じた時は寂しくも感じたが、自由と引き換えに得た孤独だと分かり、一人感慨に耽ったものだった。

上高地の旧玄関口、島々の登山口駐車場で、バードウォッチングが趣味の夫婦と出会って、3時間近くも長話したこと。新穂高温泉鍋平高原の駐車場で雨が降ったり止んだりする天気のなか、軒下に似たようなおっさんたちが集まって、たわいもない会話を延々と薄暗くなるまで続けたこと。

サラリーマン生活では、全く接点がなかった人たちと出会うようになって、自分を取り巻く世界が変わったことを実感した。

去年2018年、買ったばかりのPanasonic OJC4でフェリーに乗って北の大地に旅立った。
2度目となる北海道であったが、今回は自転車の旅でおっさんの心はときめいた。

フェリー船内で2日間ダラダラと過ごしていると、いつの間にか北海道に到着していた。始め本当に北海道にいるのかと、あまり実感が湧かなかったが、2,3日も自転車を漕いでいると北海道に馴染んだ。

初めての長期自転車旅行だった北海道ツーリングは毎日が新鮮だった。ジムニーではなんともなかった峠も、自転車だと気合を入れて漕がないと越えられなかった。雨が降ればずぶ濡れとなり、向かい風が吹くとスピードがガタ落ちしたりして、車との違いを嫌というほど味あわされた。それでも、自転車のことが全然嫌いにならなかった。いや、ますます好きになっていった。

毎日毎日前を向いてペダルを漕いで自転車を走らせているだけで単純に楽しかった。
むしろ漕げば漕ぐほど、自転車の魅力に取り憑かれたと言っていい。

6月上旬に北海道に上陸して自転車で走り始めて、途中随分と寄り道しながらも、一月ちょっとで日本最北端の宗谷岬に辿り着いてしまう。

この時、ちょっとした違和感を感じた。北海道はデッカイどうと言われる大きな島だが、実際に自転車で走ってみると、全然大したことない。その意識が芽生えた瞬間だった。

行きはフェリーに乗ったが、時間があったこともあり、帰りは自走して家まで帰ってきた。
フェリーでは北海道は相当遠いところなのだろうなと漠然と思っていたのだが、自転車で帰ってくると全然遠いとは思わなかった。

 

世界は自分が思っているほど広くない。

 

ということに気がついた。

このような意識の変化がハッキリ起こったのは、福島県内のバイパスを爆走していたころ。
北海道なんて近いところ、わざわざフェリーに乗って行くことはない。自走で十分行けるなどと、ペダルを漕ぎながら考えていた。ペダルを漕ぎながらだと、不思議と考えがまとまる。

北海道からの帰り道、函館から本州最北端の大間に向かうフェリーに乗る時に、九州からツールド北海道を観戦しに2週間掛けて自転車で来たというサイクリストに出会った。彼から自走して来たという話を聞いても、全然驚きはしなかった。むしろ当然のことのように聞いてしまった自分に驚いた。

このころ、すでに私の脳は、チャリダー脳に侵されていたのかもしれない。

いつも、どこから来たのか一般人から聞かれる度にきちんと答えると、こちらがびっくりするほど驚かれる。驚く人に私が驚くみたいな。そんな大したことじゃありませんよと答えるのだが、全然そう受け取って貰えない。そしてお決まりの「何をやっているんですか?」という質問。何というのは、仕事は何をやっているのかという意味。眼の前にいる人間を見ても分からないのか?

こんな不毛なやり取りを繰り返すうちに、私は次第に素っ気なくなっていった。

今、毎日のように自転車を弄っているが、自転車の奥の深さにますますのめり込んでゆくのを感じる。自転車を効率よく漕ぐにはどうしたらいいのか?自分でしっかりと整備するにはどうしたらいいのか?寝ている時以外は常に考えている。

普通、現在位置から500km離れたところに行こうとすると、バスか電車または自分が運転する車で行こうかと思うが、チャリダー(ここでは敢えてチャリダーという)という人種は自転車で行くことを考える。

自転車でも一週間あれば、無理なく行ける。今回は天気が良さそうだから、あそこに寄り道していこうかなとかいうことになる。以前の自分には考えられなかった変化が起きている。

 

車を手放して自転車生活となった今、選択の余地が減って、仕方なく自転車に乗る時もあるのだが、たいてい自転車に乗りたくて乗っている。多分車があっても、自転車で遠出することに決めるだろう。

車だと面倒で苦痛な移動になりがちだが、自転車だと単なる移動でも楽しくなる。目的地までの最短コースではなく、寄り道しながらだと楽しく自転車に乗れる。1,000km、2,000km離れていようとも、ペダルを漕いているだけで毎日が楽しい。それが自転車。

 

自転車で北海道から戻って来たら、いつの間にか脳内世界地図が書き換えられていた!距離が10分の1くらいに縮小したように感じる。これまで大きく感じた日本が小さな島に思えてくる。狭い日本、自転車があれば、どこへでも行ける。(ただし陸続き)

オーストラリアは大陸だが、宇宙から遠く離れて見ればただの小さい島。毎日ペダルを漕ぎ続けていれば、自分の行きたいところに行くことができる。

オーストラリアへの出発が近づいてきて、徐々に気分が盛り上がっているところ。

寝袋に入りながら、毎晩地図を見てどこに行こうかと計画を練っている。
近々、だいたいのコースを発表する予定。

 

おわり

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自転車
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コメント

  1. 神奈川の農夫 より:

    からあげさんの頭脳はすっかり自転車脳になったのですね
    以前考えられていた軽トラモバイルハウス化計画はゴミ箱行きなのでしょうね?実はかなり楽しみにしておりました(笑)
    でも自転車一筋のからあげさんも期待度MAXなので目が離せません!
    先日、西伊豆の黄金崎のからあげさんが野宿した所を見学して来ました。屋根も大きいしWi-Fiまで飛んでいて完璧な野宿適地でしたね(๑´ㅂ`๑)

    • karaage より:

      ああ、そういえば、そんなこと言っていた時期がありました。
      軽トラは私が爺さんになってから、少なくとも20年後くらいにはなるでしょう。

      まだその時、四輪の乗り物が存在していれば、の話になりますが。

      黄金崎のあの場所はWi-Fiスポットだったのですね。嵐のような天気でスマホを弄る余裕はなかったです。