旅を終わらせる決断

こんにちは。からあげです。

パーツ待ちでBroomeで待機している間、今回のツーリングについて考えを巡らせていると、明らかに失敗だったと思わないわけがなかった。出発時期とコース設定、目的なしでただ走るだけのツーリングではすぐに飽きがくる。いつだろう?毎日走ってばかりで退屈になってきたのは。

おそらくGreat Ocean Roadの終盤あたりからではないか。そう、走り始めて10日くらいですでに飽き始めていた。完全に飽きたのはPerthの手前くらい。今思えば、Perthをゴールにして終わりにしておけばよかった。長すぎるツーリングは心身を蝕む。距離を伸ばすことばかり考えていると、いつの間にか毎日が単調になり、来る日も来る日も義務感を感じてペダルを漕ぎ続けることとになり嫌になる。目新しさのある3ヶ月くらいがちょうどいい期間ではないのか?

次に走るなら、絶対にオーストラリア縦断コース。Darwin発でUluru周辺を観光した後、Adelaideまで南下し、そのあとは気分次第でMelbourneまで行くか、Tasmaniaを一周するか、はたまたSydneyまで足を伸ばすかを決める。いっそのことCairnsまで行って今回と合わせてオーストラリア一周にしてもいい。

西半周コースだとコースの選択肢が非常に少ないうえに、交通の不便な田舎町が多く、途中で止めるに止められなくなる。前半の自転車の調子のいいうちに長い無補給区間の内陸部を走って、後半は補給が楽な東海岸を走る。これなら、その時の体調と自転車の調子によって柔軟に予定を変更することができる。

今回は出発時期が遅いくせに、向かい風に吹かれたり雨に降られたりすることが多く、さらに日が短くて全然距離が伸びなかった。そのため、最後の楽しみにとっておいたUluruにたどり着く頃には冬が終わり暑くなる春の時期になってしまった。

今回はいらんことをしてリム割れを引き起こし、不注意でヘルメットを自転車の下敷きにして割り、もうこの旅は終わりにしよう。と決断した。ヘルメットが割れる音を聞いた瞬間、私の心は砕け散った。このままダラダラ旅を続けていても、無駄金を使うばかりで得るものは少ない。まだ楽しむことができていればいいものの、今は全く楽しくない。毎日早く日本に帰りたいと思い続けている。

失敗の原因はなんだろう?本来、自転車旅は緻密な計画が必要なのに、行き当たりばったりでも何とかなるだろうと、安易な考えから抜け出せないでいた。実際オーストラリアに来てみると、水場がほとんどない過酷な大地を走ることになり、毎日がいっぱいいっぱいだった。無理が続くのは短期間のみ。しかも私はもうおっさん。無理をして必死になってペダルを漕ぎ続けることに何の意義も見いだせなくなってしまった。

今後は最短コースのハイウェイを走ってMount Isa経由でCairnsから飛行機に乗って帰国する。BroomeからCairnsまではおよそ4,200km。2月くらい掛けてゆっくり走る。Cairnsまでならたぶんタイヤは持つ。Tennant CreekからMount Isaまでの長い無補給区間を越えれば、あとは補給間隔が短くなって楽になる。

ただ、このコースには東海岸に出るまで自転車屋が全くないので、それが気にかかる。しかし、グレイハウンドオーストラリアという長距離バスの路線と重なっているので問題なし。グレイハウンドは追加料金を払えば自転車も載せることができる。
Cairnsまで行けば、あとは準備を整えてジェットスターの直行便に乗って帰国するだけ。

うむ、これに勝る案はなし。

Broome周辺には、謎のトゲトゲ植物が生えていて非常に危険。
最大限の注意を払いねぐらを選んだ。

今日は一旦Broomeまで戻り、自転車屋さんでスプロケットの代金を支払ってから、水を補給して先に進む。自転車屋の開店に合わせて7時過ぎに出発する。

ねぐらから自転車屋まで片道約15km。かなり勿体無い距離。
昨日、別の店員さんが対応した時にしっかり確認させておかなかったため、余計な手間が増えた。

正直、払わなくていいならラッキーと思ったことは認める。だが、リム割れを起こして先に進めなくなった時に助けて貰ったこともあり、料金を支払わずにとんずらすることはできなかった。電話がなくても、翌朝払いに行くつもりだった。

店主はどう受け取ったのか知らないが、開店前にお店まで行ってシャッターが開くのを待っていたことで多少は機嫌を直したらしい。敢えて弁解はせず。微妙な空気のもと、スプロケット代55ドルをカードで支払った。

Broomeまで戻る途中、リヤディレーラーの調子が悪くて、変速操作をすると、しばらく経って不意に変速することもあって困ていた。そのことを店主に言うと、ケーブルのアジャスターをいじって長さを微調整してくれた。その後はスパスパ変速が決まるようになって問題なし。

Kimberley Cicles Thank you very much!!

これが新しいリム。

DT SWISSの36Hのリム。今度こそ余計なことをしないように気をつけると心に誓う。

ハブが2ランクダウンのDeoreとなってしまったが、物価の高いオーストラリアではXTはたぶん高級品。店主が気を使って必要十分な安いDeoreを選択してくれたのだろう。

文句を言わずにただ受け入ろ!

スーパーで食料を買い足したあと、インフォメーション横の給水ポイントで水を汲ませてもらう。
順番待ちの時間が長くてついイライラしてしまった。

次はRobuck Plains RHとWillare BridgeRHを経てFitzroy Crossingまでの404km。水は途中のロードハウスで汲ませてもらうことにして、全部で16L持つことにした。

Broomeにて出発準備が整った。7月31日に町外れまで来て、8月7日に出発する。結局一週間も滞在することになってしまった。

Broomeは観光の町で観光客が多く全然落ち着かなかった。用が済めばすぐにも出たかったのだが、自転車が直るまで出られなかった。すべて自分のせい。

気がかりなことはヘルメット。
とりあえず接着剤でくっつけてみると、なんとか元の形には戻ったが、おそらく防御性能はガタ落ちしていると思われる。

自転車屋さんにあったヘルメットはほとんど大きさが合わず、唯一フィットしたのは320ドルもする高級な奴だった。オーストラリア人の頭は細長い形をしているようで、標準的な日本人の頭には全然合わない。

仕方ないので、帰国後Amazonコンビニ受け取りで新しいヘルメットを手に入れることにした。オーストラリアでは壊れたやつをそのまま使う。どうせ轢かれたらおしまいなので、問題はなし。ようは轢かれなければいいだけ。

9時過ぎにBroomeを出発する。

久しぶりの走行になるので、特に注意をして走る。

道路の真ん中にバーストしたタイヤの破片が落ちていた。
車は大丈夫だったのか?

一週間休んで力が有り余っているため、休憩なしで楽々ロードハウスまで5kmのところまでやって来た。

スイスイっとロードハウスまでやって来た。
ここは前回来たところ。水を汲めるのが嬉しい。

木陰に自転車を止めて休憩する。

頭上の木に留まっているカラスに注意してサンドイッチを食べる。むむむ、突き刺さるような視線を感じるぞ!

前回は焦げたパンのハンバーガーが出てきたので、作りおきのサンドイッチを選択。

外にゴミ箱がないので、建物の中のゴミ箱に捨てに行って戻ると、カラスがドリンクボトルの水を飲もうとしていた。

奴め!水も狙っていたのか。汚いので飲み口を洗って水を満タンにしておいた。

木陰が非常に気持ちいい。休む時は必ず日陰で。疲れのとれ方が全然違う。日向で休むと、かえって疲れる時もある。それじゃあ何のための休憩か。

しっかり休んだ後に出発する。

休憩中、Gibb River Roadに走りに行くと思われるオフロードバイクの集団の中のひとりのおっさんから話しかけられた。なんでもホンダに2年間いたらしい。たぶん、おっさんはショップの人間、海外にも販売網を展開しようと、ホンダが外国人相手に研修をしていたのかもしれない。お客さんを連れて走りに行くところのようす。みな背中に水を入れたバッグを付けていた。

オーストラリアでは、日本びいきの人から話しかけられることが非常に多い。アメリカでもそうだった。私はどこから見ても日本人に見えるのだそう。私は典型的な日本人なのか?よう分からん。

ロードハウスから少し進むと、Port Hedland方面の分岐に到着。ここはまっすぐ。先日は右からやって来た。

途中のDerbyには行かずに直接Fitzroy Crossingに向かう。DerbyはGibb River Roadに走りに行く時に寄る町。

道路の交通状況の表示板。すべてOpen。

おそらく雨季になると、度々通行止めになるのだろう。冬の乾季なら安全に通ることができる。

オーストラリアではデイライトを推奨。
見通しの良い直線道路が続くのに、なぜか事故が絶えないオーストラリア。おそらく長時間の単調な高速運転が脳をおかしくするものと思われる。

サイクリストから見ても、ヘッドライトを点灯している車としていないのとでは見え方が全然違う。レンタカーでドライブする人は必ずヘッドライトを点灯して走行して欲しい。ちょっとした手間が命を救う。

町を出た初日は無理をしない方がいい。
水食料が重たくてかなりハード。今回は一週間休んだこともあり特にその必要あり。

生々しい事故現場。

大破した車は撤去されているが、焼け焦げて地面に刺さったパーツがいくつか残されている。時々見かける現場。

ドライバーに注意を促すために、敢えていくつかのパーツを残しているような気もする。

干上がったクリークは最高のねぐら。
背丈のある木が生えていて木陰も多い。

ただし、下が柔らかい砂地であることが多いため、ハードな押し歩きをする必要がある。押すと言うより引きずる感じ。なんてクソ重たい自転車なんだ。

いい感じの木陰にテントを張る。道路からは見えない位置。
木漏れ日は自転車カバーで完全に遮る。

快適なテント内。

ああ〜極楽極楽。

走行データ
町外れからBroomeに戻り食料・水の補給〜Roebuck PlainsRHで休憩〜20kmほど走る。
 
走行距離77km、走行時間5h、Av15.4km/h、Max22.3km/h
 
ねぐら 干上がったクリーク跡
 
おわり