こんにちは。からあげです。
痛恨の置き忘れをして、苫小牧から浦河まで戻ってきた。雨の向かい風という悪いコンディションのなか走ったため、体の消耗は想像以上だった。図書館で椅子に座ってブログ更新してもふわふわとして落ち着きがなく、近くの駅までの道のりすら辛かった。
昨晩は駅の待合室で眠った。国道からは距離があって、壁がしっかり断熱構造となっていたため、中は非常に静かだった。
夕方からは土砂降りの雨となったが、ホームの屋根と待合室のため、快適に過ごすことができた。普段は駅で泊まることはないのだが、バス代行運行中で電車が来ないため、快適な野宿場所の一つとなっている。
3年ほど前に非常に発達した低気圧で海岸沿いの線路が傷んでから、ほとんど手付かずのまま放置されている。詳細は知らないが、JRと地元沿線でなにやら揉めているようす。復旧費用は莫大なお金が必要で、そのお金をどこがどれだけ負担するかの調整が付かないようだ。
私はよそ者なので、詳しいことは分からん。
朝になると、雨が上がっていたが、まだドス黒い雲に覆われたままだった。朝からなんだか蒸し暑かった。
誰も来ないことをいいことに、随分と遅くまでいて、自転車の点検をしたり、ヒゲを剃るなどして身なりを整えていたのだった。
本日の目的地は、神威山荘。ペテガリ岳と神威岳を登山するために、登山口にある神威山荘に泊まる。スーパーが開店する9時を待って出発した。
浦河町のお店で食料を調達する。
大麦、カレーうどん、ポカリ粉末、レトルトカレー、菓子パンなど。
天気予報によると、明日からしばらく好天が望めそうなので、急きょペテガリ岳と神威岳に登ることにした。置き忘れをしなかったら、登るチャンスは来なかっただろう。久しぶりの好天を逃すのは惜しい。登れる時に山に登っておく。
食料を買い出しして、コンビニのマルチプリンタでPDFデータの地図を印刷して、登山口に向かう。
まずは国道235号線を走って入口の荻伏(おぎふし)に向かう。
荻伏から道道384〜道道348を真っ直ぐ北上すると、神威山荘に着く。途中の標識は1個しかなかったが、非常に分かりやすい道だった。方向音痴のおっさんも迷うことはなかった。
国道から北に上がり集落を抜けると、のどかな牧場の風景が広がっていた。
ここは牛の牧場。なぜか、全然臭わなかった。与えるエサによって臭いが違うのか?
可愛いにゃんこが日向ぼっこしていた。
何をするわけでもなく、ただぼーっとしていた。
競走馬の放牧場が広がる。日高地方は競走馬の放牧がさかん。牛は少しでほとんどが馬だった。
自転車に乗ったおっさんは見慣れないのか、近づいてくる馬は少なかった。たいてい逃げてゆくか、無視されるのどちらかだった。
なんというか、おとなしい馬なのだが、全然人懐っこくない。競走馬として英才教育で育てられているからなのか?
林道に入る前にバス停で休憩する。
私が中で休んでいると、牧場主の人がやって来て話しかけてきた。なんでもようやく馬の出荷が終わって一段落付いたのだとか。
ようやく暇になったから、暇そうなおっさんと話をしにやって来たというわけ。話を聞くと、牧場の仕事も大変らしい。一般人ではなく、馬主相手の仕事のため、使いっぱしりのようなこともするそうだ。その代わり、テレビに出てくるような有名人と顔見知りになれるのだとか。
「なんかあったら電話くれ」、と言って携帯電話の番号を教えてもらった。金がなくなって困ったら、いつでも雇ってくれるそうな。本当かどうか分からないが、この人に頼めば、何かしら仕事にありつける雰囲気はあった。
元浦川の小さなダム。
この上流に目指す神威山荘がある。
林道入口
これより未舗装路となる。予定ではサクッと昼過ぎに神威山荘に到着することになっていたのだが、すでに入口の時点で昼を回っていた。どう考えても着けるわけがない。早くも無計画に等しい登山計画が破綻しつつある。
奥の方にも放牧場があった。しかし、馬や牛は放牧されておらず。
昨日の雨のため、路面は泥濘んでいて水たまりができていた。
緑のトンネルを抜ける。
未舗装路に入った途端、スピードがガクッと落ちる。傾斜がキツイ坂では押して上った。
神威橋
元浦川に架かる橋。橋を渡ると一層人気がなくなる。
橋の奥に土石流防止柵が設置されていた。近くで見るとかなりの大きさだろう。
周囲でこれだけ赤くてよく目立つ。
途中、伐採作業をしているところを通り抜けた。重機やトラックに踏み荒らされて、地面はドロドロのヌチャヌチャだった。一番軽いギヤにしても走るのがやっとだった。
地図で見ると、近そうに見える場所も、実際走ってみると、凄く遠くに感じる。走っても走っても全然山荘が見えてこない。
急カーブを抜けて向こう側に出ても、まだまだ道が続いているのが見えると、ドッと疲れが出てくる。
3時過ぎ、神威山荘に到着!
もうヘロヘロだ。ここで登山のためにとっておかなければならないパンを食べてしまう。ええい、もうどうにでもなれ!
暴走するおっさんを止めることは出来なかった。
山荘横の駐車場には車が一台泊まっているが、中には誰もいない。デポしてある荷物と先客が場所取りのために残していった荷物があった。
黒光りした板の床で、ほんのりと煤けた匂いがする。中は思いのほかカラッと乾燥している。
さっそくカバンを外して小屋の中に運び入れる。
こういう時、自転車は面倒に感じる。やはりサイトに乗り付けてカバンを付けたまま荷物を出すほうがいい。
えっ、それって私が忌み嫌うオートキャンプではないか。自転車の場合は、排ガス出さないし、煩くないからいいのだよ。
自転車は近くの沢で洗車してカバーを掛けておく。
もちろん、駐車場側から見えない反対側の壁に立て掛けてカバーを掛けておく。昨日取り戻したワイヤーロックをしておく。
これでバッチリだ。
水は近くの沢で汲んでおいて、あとで浄水する。
水の浄水は必要になった時に必要な分だけ行う。手間が掛かるので、余分な水の浄水はしない。
車なら水道水を大きなポリタンクに入れて持って来ることができるが、自転車は無理。こういう時こそ、浄水器出番だ!
それにしても山荘内にある薪ストーブ。
あるということは使ってもいいということ。
でも何か変だぞ。
あれま!天板の代わりにいろいろな空き缶が重ねられている。隙間だらけで大丈夫だろうか?
まあ、なんとかなるだろう。最近も使った形跡がある。しかし、予備の薪はほとんどない。
小屋の横には薪小屋があって、たくさんの丸太が転がっていた。しかし、どれもこれも濡れていて燃えそうにない。屋根の下に辛うじてあった丸太2個を運び出した。
小屋の中を探したら、斧が見つかった!
ようし、早速薪割りをしよう。薪割りならおっさんに任せておけ!斧で割るのは簡単だ。
あっという間に薪割り終了。
これだけあれば、2,3日持つだろう。
夕方になって食事の用意をするため、ストーブを点火する。
薪がよく乾燥しているため、直ぐに火だるまになってくれた。
ただ、天板に穴が空いているため、火力のコントロールが難しい。しかも、黒い煙が外に出てくる。
ウホウホ、これは煙たい。
明るいうちに食事を済ませて眠りに就いた。その後、しばらくしてドカドカと入って来たおばさん2人組に起こされる。荷物を置いて登山しに行った人たちだ。時計を見ると、なんと21時を過ぎている。非常識極まりない。もう戻って来ないと思っていただけに、いきなり叩き起こされて非常に不愉快だった。
いったい何時だと思っている?こんな時間までどこをほっつき歩いていたのだ?遅くなるのは勝手だが、ヘッドランプの明かりにチラチラと照らされるわ、ドカドカとかかとを落として歩くはで腹が立ったので、足を何度も床板に叩きつけて、「眠れねーだろ!」と言ってやった。
その後、大人しく寝てくれたのだが、いびきと寝言で再度イライラさせられた。これはお互い様ではない。迷惑掛けられっぱなし。北海道を甘く見ているから、遭難しかけるんだよ。出直してこい。
こうして眠れない夜を過ごしたのだった。
おわり