自転車ごと三陸鉄道に乗った

こんにちは。からあげです。

 

今回の台風24号は、最強の避難場所にいたためか、大して風が吹かなくて、十分体を休めることができた。前回、苫小牧での避難がいい加減で大変な目に遭ったので、今回は万全を期した。やったな!おっさん。

雨は7時頃に止み、次第に青空が出てきた。

さあて、そろそろ準備して行こうか。ここは最高の野宿場所だ!ゆっくりし過ぎていると、もう一泊してしまいそう。ここは心を鬼にして早めに出発した方がいい。おっさんがダダをこね出したら大変だ。

簡単な洗車とキャリアの取り付けビスの点検を行って出発する。この時、すでに8時を過ぎていた。

被災地周辺の道路は明け方から混み始め、8時を過ぎると落ち着いてくる。そう、工事現場の作業員の出勤ラッシュが日出から始まるのだ!

私はのんびりと出かける。誰からも文句を言われない零細自営業者(自称探検家)。ただ、自己管理を疎かにしていると、確実に野垂れ死ぬことになる。そんな危険を伴う仕事。

 

今日の予定は釜石で食料の補給をしたあと、五葉山(ごようざん)の登山口まで行ってそこで泊まる。行程に余裕があるので、釜石であちこちを見物するつもりだ。

サクッと峠のトンネルを抜けて釜石市街に下りてきた。
2年前と比べてずいぶんサッパリしたような気がするな。もっと埃っぽかったはず。

まずは釜石市役所にやって来た。

高台にある市役所だが、津波で地下一階が浸水してしまったらしい。

正面玄関のところスレスレまで水が来たそうな。
建物はかなり古い感じがする。

市民がほとんど来ない2Fの廊下には祭のハッピが干されていた。
やっぱりね、祭くらい賑やかに騒いだ方がいい。町中で飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎして、嫌なことすっかり忘れようぜ!

大きな工場の建物がある。以前もあったような気がする。中からガタガタ機械が動く音が聞こえてくる。

釜石グレーンセンター

穀物を保管するところ。船から揚げられた穀物がここで一時保管される。

現在、稼働しているのかは不明。

港の方に行くと、倉庫が少しあるだけで、ほとんどが空き地となっていた。砂利を積んだ大きなダンプカーが頻繁に出入りしていた。

もっと奥に行こうとすると、警備員に立ち入り禁止だと止められてしまった。

町中の洗車場。

結構車が出入りしている。町中が埃っぽくて直ぐに泥だらけになるため、かなりの需要があるようだ。

市街地の中心部に2年前にはなかったシビックセンターが新たにできていた。なんと透明な広い屋根がある。ここなら雨の日でも関係なくゆっくり休める。

鉄の町らしく、鉄骨をむき出しにしているぞ。そう言えば、ラグビー場もそうだったな。

中は広々。床は温もりを感じる板材が敷き詰められている。

イオンタウンとシビックセンターに挟まれた公園にやって来た。
濡れたテントやカッパを干しておく。

吹き返しの風が強いものの、晴れ間が出てきた。ただ、かなり気温と湿度が高めで蒸し暑い。

もちろんソーラーパネルを広げてモバイルバッテリーを充電する。台風が過ぎて空気が澄んでいるためか、充電効率がかなり良くてあっという間にフル充電することができた。

なぜかモバイルバッテリーは、AC充電器よりソーラーパネルで充電したほうが早く充電できる。

ヨシ、テントを乾かしている間にイオンで買い物をしておこう。

イオンであれこれ食料を買ってきた。これは10時のおやつのようなもの。これらを食べる前にアイスクリームを食べている。タンパク質を意識して、カツオのタタキとサバの水煮缶を選んだ。

先日、100均のタオルを公園に置き忘れてしまったので、同じやつを買った。こいつは吸水性が抜群に良く、なおかつ絞って干しておくと直ぐに乾くスグレモノだ!

早速首に巻いてみる。

ごほっごほっ。苦しいじゃないか!バカヤロー。

これ少し短くなってやしないか?4ヶ月前に買った時は、あと10cmは長かったはず。いつの間にか短くなっていた。首に巻くと、短いから蝶ネクタイのようになってしまう。

首にタオルを巻かないと、風邪をひいてしまうだろ!

避難場所に指定されている薬師公園にやって来た。2年前の時もやって来たことを覚えている。上の公園から釜石の町がよく見える。

おや、折りたたみ式のごみステーションか。
釜石の町は平地が少なくて、道路は少し狭め。コンテナを常設すると邪魔になるだろう。

階段を上って公園にやって来た。

平和の像がある。

釜石の眺め

ここから見ると、随分と復興したように見えるが、狭い路地に入ってゆくと、まだまだ空き地があったりする。

トイレの横に奥へ続く道がある。
よおし、行ってみよう。前回は行かなかったからな。

今回は自転車で余裕がありまくりだ!

上にはなんと、NHKのラジオアンテナが設置されていた。

昨日泊まった水海公園は、山に囲まれていてFMの電波が入らなかった。

 

JR釜石駅にやって来た。

そう言えば、2年前来た時、壁に鉄道の絵を取り付けているところだったな!

凄い小奇麗な駅になった。

隣には三陸鉄道のイオンタウン釜石駅がある。

こちらの方はかなり地味め。駅名にイオンタウンと付いてしまっている。

駅近くの工場は元気に稼働中だった。煙突からモクモクと煙を吐き出していた。

寄り道せずに国道45号線を走る。峠を越えて平田(へいた)の町にやって来た。2年前はほとんど空き地だったのに、かなり家が建っている。随分と町らしくなったな。

山の上に建つ釜石大観音。上に登るには拝観料が必要。

今回もスルー。

町から少し上がったところにある平田総合公園のグランド。
ところ狭しと仮設住宅が建てられている。まだかなりの人が住んでいるように見える。どこも生活感が出ている。

三陸鉄道の唐丹(とうに)駅までやって来た。

ここも前回やって来て休憩した場所だ。徒歩と自転車のスピードの違いを改めて実感する。昔の峠道を歩かず、国道を走っているので余計に速い。

2年前は辛く苦しい道だったのに、今回は楽々やって来た。余裕があるので、寄り道する気になってくる。

地下通路を抜けてホームに上がってきた。ここは無人駅。自由に入ることができる。

ホームの柱に津波浸水の印が付けられていた。

なんとここまで来たのか!

ホームの待合室で見つけたサイクルトレインのポスター。

なになに、自転車をそのまま載せられて、しかも自転車の運賃がタダだって?これはいい!

しかし、乗車駅は釜石・三陸・綾里(りょうり)・盛(さかり)の4駅のみ。(下車はすべての駅で可能。)電話を掛けて聞いてみたが、他の駅は無人のため、自転車ごと乗車できないということだった。

仕方ない諦めるか。わざわざ釜石まで戻るのも面倒だし、先の三陸駅まで行くのも大変だ。

私は諦めモードだったのだが、おっさんが乗りたいと言い出した。ややや、これは厄介だ。一度言い出したら、絶対に引かない。ここはおっさんの機嫌をとっておくか。

三陸駅の次の電車は2時50分。急げ!あと1時間半しかないぞ!!

唐丹駅から三陸駅まで行くのに、鍬台トンネルと羅生トンネルの2つを抜けなければならない。そう言えば、2年前鍬台峠を越えたところでツキノワグマと遭遇したな!

鍬台トンネルの手前で三陸道の入口がある。ここから先は交通量が激減して凄く走りやすかった。トンネルを抜けたあとの下りが自由に楽しめた。

もうこの時、五葉山のことなどすっかり忘れていた。いい天気になるかどうか分からないのに、登る気にはなれない。五葉山はツツジが咲く季節に登る方がいい。また今度通りがかった時に登ろうか。

トンネルを2つ越えて三陸の町にやって来た。

2年前、まだ三陸サイコー商店街の看板はなかった。うむ、なかなか賑やかになってきたじゃないか。

とは言うものの、海岸近くは空き地が目立つ。

三陸駅は住宅地の中にあって分かりにくいが、前回休憩で寄ったことがあるので、特徴のあるトンガリ屋根が駅だと知っている。この辺りは工事中だらけで煩かったのに、今は工事が終わって静かになっている。

駅の入口にある床屋。

プレハブの店舗だが、非常にカラフル。なんだか嬉しくなってくる。

三陸駅には20分ほど前に余裕を持って到着した。
一日休養していたので、元気が無駄にある。ちょっとした峠など難なくクリアすることができる。

駅前の観光案内所を兼ねた建物で切符を買う。

なんだかごちゃごちゃしているな。まあ、田舎の駅はこういうもんだ。

三陸駅から終点の盛(さかり)駅までの運賃は540円。切符を買うと、手回り品の無料券を貰える。本来は280円掛かる。

残念ながら、三陸鉄道の駅にはエレベーターなどという近代的な設備はない。地下通路からホームに上がるためには、階段を上らなければならない。

こういう時はカバンを外して自転車を担いて上がる。
あとは2往復してカバンを運ぶ。

カバンを付けたまま上がろうとすると、かなり疲れる。無理をせずに確実な方法をとる。

この階段結構長い。

壁には地元の小学生の絵が描かれているぞ。

ホームに移動した自転車。

なかなか疲れるわい。これで準備はOKだ!まだ時間に余裕がある。早めに来ておいて良かった。

5分ほど待っていると、一両編成の電車が到着した。

ワオンの可愛い絵が描かれている。三陸鉄道は身も心もイオンに捧げてしまったようだ。

本来は前から乗って前から下りるが、他の乗客の邪魔になるため、後ろから乗って後ろから下りる。運転手さんが後ろのドアを開けてくれた。

入口の横幅は狭めで段差がある。ぶつけないように慎重に運んだ。

電車に乗り込んだ隊長号。おお、なんかいいね!たまには電車に乗るのもいいもんだ。そのまま乗れるって楽でいいね!

後ブレーキをしっかり効かせてシートに立て掛ける。自作のブレーキ紐が非常に役に立っている。電車が揺れてもビクともしない。

他の乗客は1人だけだった。

幽霊電車に乗り込んだ気分になった。

恋し浜駅には3分間停車して、記念撮影する時間がある。

昔は小石浜という名前だったのに、恋人の聖地となるようにと漢字を変えたそうだ。

待合室のドアを開けると、願い事を書いたホタテ貝がびっしり詰まっていた。2年前から更に増えているぞ。凄いホタテの数だ。

ホタテ貝を見ると、自然とパンクのことを思い出してしまうから見たくないのに。

終着駅の盛駅に到着!

この駅は少しの段差があるだけのため、カバンを外さずにそのまま出ることができた。

記念に切符を貰っておいた。昔懐かしい厚紙タイプの切符だ。

JR盛駅から気仙沼駅の間はBRTと言ってバスで運転されている区間。津波でメチャクチャになってしまったのを機にバス運行に切り替えている。

昔線路があったところはキレイに舗装されてバスが走っている。

なかなかオシャレな三陸鉄道盛駅。

自販機がたくさん置いてあるのが面白い。

盛駅は大船渡(おおふなと)の町の中にある。少し南に下れば大船渡の駅がある。

寂しい市街地を抜けてゆく。

なんと、未だに通行止めの区間があった。現在、歩道工事中のため、通行止めになっているようす。

BRTの踏切

BRTの道路内は一切の進入禁止。自転車だけでなく歩行者も入ってはならない。

未だに津波の被害を受けた建物が残っていた。
なんだか訳有のようす。

港の方に近づいてゆくと、かなりの空き地が目立つ。区画整理は終わっているが、ほとんど使われていない。

ぽつんと取り残されたように建つかつての商工会議所。
震災遺構として残すものなのだろうか?手付かずのまま残されている。

建物は2階部分まで浸水していて、一階がメチャメチャに破壊されていた。

大船渡駅

新しくなった駅。線路がないため、全然駅らしくない。

大船渡駅の横には防災観光センターが建てられていた。

非常に頑丈な造りの建物だ。屋上は展望台となっていて、大船渡の町並みを眺めることができる。

展望台から被害が少なかった西側の方を眺める。

手前に建つ建物は疎らで津波の被害を受けたことが分かる。

広大なショッピングセンター。

2年前来た時はここで買い物をした。あの時はまだ駐車場が工事中であちこち泥だらけだった。それが今ではすっかり小奇麗になっている。

魚市場と漁港の施設

数隻の漁船が係留されているのみ。人影は見られない。

岸壁に係留されていたサンマ漁船

サンマを水揚げするために寄港したようす。

係留索をこんなふうにとっている。

テンションが抜けたら外れてしまいそうだが、そうはならないのだろう。

リングだとロープを取るのは面倒。いちいち結ぶとかはやってられない。これだと取るのも離すのも簡単でいい。

子供向けの看板

頭が悪いふりをして突破するのは出来ないか。いや、フリをせずとも普通にしていればいいだけだ。

力強い言葉だ。

午後4時を過ぎて周囲は薄暗くなり始めている。

さて、どうしようか?

グーグルマップで見つけた公園に行ってみることにした。津波の被害の跡が残る町で変なところで野宿はしづらい。

やって来ました下船渡公園。

立派な東屋があるではないか!まだ風は多少強いが、徐々に落ち着いてくるだろう。ベンチの上で寝袋に包まって眠れば、安眠間違いなし。民家が適度に離れていて静か。

 

さあて、今日も時間が掛かってしまったな。さっさと寝床の準備をして寝よう。

 

おわり

コメント

  1. 中野貴徳 より:

    こんにちは。
    2年前のトレイルで当地を通過の際、タイミングが合わずメールだけでご挨拶したのですが、今回はお会い出来ないかと思いコメント欄に書き込みました。
    今日は陸前高田から気仙沼市あたりかと思いますが、もしよければ、夕食でもご一緒していただき、お話を伺えればと思います。いかがでしょうか。

    • karaage より:

      お久しぶりです。
      現在ブログは時差更新でして、すでに通過しております。
      せっかくお誘いして頂いたのにすみません。